色付き封筒で警告…「国民健康保険料未納者」の恐ろしい末路
組織のしがらみから解放され生き生きしている小林さんですが、「やっぱりフリーランスは厳しい。やはり会社員の安定も正直捨てがたいものがある」といいます。そのことを実感したのが、つい先日のこと。10歳年下ながらも、小林さんにさまざまなテクニックを教えてくれたフードデリバリー仲間のタカシさん(33歳)が大ピンチに直面しているのを目撃し、会社員であることの有り難みを再認識したといいます。
――国民年金保険料を払っていなかったらしく、財産差押えの一歩手前でした
国民年金保険料の金額は、1カ月あたり1万6,980円です(令和6年度)。自営業や無職、学生などは自身で保険料を払わないといけません。生活苦で月1.6万円強が払えないこともあれば、うっかり払い忘れが続いて、ということもあるでしょう。
保険料の未納が続くと、まず日本年金機構から紫色の圧着ハガキで「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)」が届きます。
それでもなお、保険料の納付を拒否していると、「特別催告状」が届きます。特別催告状は色付き封筒に入り、最初は青、次に黄色、そして赤(ピンク)と変わり、3通届くでしょう。
それでもなお納付がないと「最終催告状」が届きます。
さらに納付がないと「督促状」が届きます。指定された期日までに納付しないと、その分、延滞金が発生するようになります。
それでもなお納付がないと「差押予告通知書」が届きます。これは日本年金機構が財産調査を行ったうえで送られてくるもので、差押え前の最後通告。これ以降は予告なく、突然、差押え当日を迎えることになります。
日本年金機構によると、赤色の封筒に入った最終催告状は、2023年には17万6,779件に送られました。「督促状」が送られたのは10万2,238件、「財産差押」となったのは3万0,789件でした。赤い封筒で最終警告がされた6人に1人が、「財産差押」という事態に直面しているのです。
差押え対象は、まず給与。手取りが月額44万円以下の場合は手取り額の4分の1、超えると手取り額から33万円差し引いた金額が差押えとなります。さらに銀行に債権差押命令が送達された時点の預貯金残高も、法律で差し押さえを禁止された生活必需品以外の動産も差押えの対象です。
つまり、給与は満額受け取れなくなり、預貯金の引き出しはできなくなり、自宅のある換金できるあらゆるものがもっていかれ、スッカラカン……なんとも恐ろしい状況に陥ってしまうのです。
それまで赤色の封筒に入った特別催告状もガン無視していたというタカシさん。しかし段々と不安になり、「ヤバいことになった!」「そんな金額、急に払えるわけないだろ!」とパニックになっていました。滞納金額は24ヵ月分、39万8,880円。いろいろ事情があり家族は頼れないというので、小林さんが一旦は立て替えて一件落着。現在は毎月2万円ずつ、お金を返しているといいます。
――頑張ろうと思えば、サラリーマン時代と同じくらい稼ぐことができますが、やはり生活は不安定。今回のことのような怖い事態に直面することもあるでしょうし
現状の自分と比べて、会社員時代がいかに安定していたかを思い知ったという小林さん。もう少し会社員への抵抗感がなくなったら、再就職に向けて動き出そうと考えているといいます。
[参考資料・出典]
エフアンドエムネット株式会社/労務SEARCH(労務サーチ)『職場のストレス調査』