人間関係にストレス…会社を去った43歳の管理職
――働き続けるのが難しかった
前職を振り返る小林亮一さん(仮名・43歳)。大学を卒業して以来勤めていた会社を退職したのは先日のこと。仕事で感じるストレスの反応が体にも出るようになり、「このままでは潰れる」と思い、最後は逃げるように会社を去ったといいます。
エフアンドエムネット株式会社/労務SEARCH(労務サーチ)が20代以上の男女を対象に行った『職場のストレス調査』によると、9割以上が「職場でストレスを感じる」と回答。さらに3割は「頻繁に感じる」としています。
その要因として最も多かったのが「上司との人間関係」で19.7%。「動労や部下との人間関係」15.3%、「仕事量が多い」15.0%、「給与が低い」10.7%と続きます。また「職場のストレスにより転職を考えたことがあるか」の問いに対しては、72.0%が「ある」と回答しています。
小林さん、当時は課長に昇進したばかりでしたが、「管理職なんだから」を枕詞に上からも下からグチグチといわれることに大きなストレスを感じていたといいます。
――私が要領よくさばけたらよかったのですが……
一方で給与は月収40万円を下回り、「名ばかり管理職といえる程度」だったといいます。厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、男性課長職の月収の中央値は47.0万円。下位25%で39.6万円。小林さんは下位4分の1に含まれる課長で、確かに「名ばかり管理職」と自虐するのもわかります。
ある日、全身に蕁麻疹が出るようになり、さらに通勤電車にも怖くて乗れない、という状態になったという小林さん。退職を決意したといいます。
とはいえ働かないと暮らしていけない(もちろん雇用保険はありますが、自己都合退職となり、給付は3ヵ月以降)ので、職探しをスタートするも、なかなか乗り気になれません。そのとき、組織に属して働くことに強い拒否感を抱いている自分に気づきます。それであれば……早速始めたのがフードデリバリーでした。
学生時代、体育会系の部活に所属し、体力には自信があったという小林さん。現在の月収は波はあるものの平均して40万円強。33万円といわれる平均額を大きく上回っています。