高齢化、長寿化が進むなか、定年以降も働き続けることがいまやスタンダード。それでの経験を現役社員に還元……そんなシナリオがうまくいくとは限らないようです。
申し訳ありません、お客様!最高月収150万円「大企業のエリート部長だった66歳男性」、ミス連発で平謝りでも「時給1,180円の居酒屋バイト」を続けるワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

名の知れた大企業元部長が、居酒屋でアルバイト

居酒屋のアルバイトリーダーの健吾さん(25歳)。「この前、スゴイ新人さんが入社してきたんです」とヒソヒ

ソと教えてくれました。その新人というのが、川中誠さん(仮名・66歳)。接客業は未経験だといいます。

以前はどんな仕事をしていたのか?

 

――XX(具体的会社名)で働いていました

 

名前を聞けばパッと思い浮かぶような大企業。大学卒業以来、XXひと筋で頑張ってきたという川中さん。50代を前に部長に昇進し、55歳で役職定年。60歳で定年を迎えると、特別社員としてアドバイザー的な役回りにまわるように。昨年、惜しまれつつ、会社を去ったのだとか。

 

大企業で部長にまでのぼりつめたのだから、給与はすごかったのでは?

 

――最高150万円ほどだったかな

 

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大企業(従業員1,000人以上)の大卒部長(男性)の月収の中央値は72.3万円。上位25%で86.0万円、上位10%で102.2万円です。最高月収150万円だったという川中さん。大企業・大卒部長のなかでもトップクラスの給与を手にしていました。

 

【大企業大卒部長の月収分布】

~50万円未満:6.94%

50万~55万円未満:4.40%

55万~60万円未満:8.45%

60万~70万円未満:25.39%

70万~80万円未満:21.60%

80万~90万円未満:13.79%

90万~100万円未満:8.46%

100万~120万円未満:5.74%

120万円以上:5.22%

 

さらに退職金は4,000万円ほど。まさしく、エリート街道を歩んできた勝ち組といえる川中さん。今の時給は、募集時のまま1,180円だとか。