同年代であれば「よーいドン」と、だいたい同じタイミングで社会人生活をスタートさせます。それぞれが別の道を行くのだから比べても意味はない……そうは思いつつも、どこかで意識してしまう同年代の給与。それは仕事から引退し、年金をもらうようになってからも続くようです。
毎週水曜の朝、近所の喫茶店で自慢話に花を咲かせる「年金月25万円・元勝ち組サラリーマン」に嫉妬。唇を嚙みながら接客する「68歳カフェ店員」の残念すぎる年金額 (※写真はイメージです/PIXTA)

時給1,280円、68歳カフェ店員…毎週水曜朝の憂鬱

生活苦のなか、仕事に復帰しようと考えていた川口さん。元々いた業界に戻るという選択肢もありましたが、せっかくであれば、別のことがしたいという気持ちもありました。そんなとき、駅前でみたカフェのパート・アルバイト募集。

 

「日中4時間以上、週2回以上、時給は1,280円~」

 

「月4万円以上になるな」と、パッと算盤を弾いたという川口さん。「接客業もたくさん『ありがとう』といわれる仕事だよな」と考え、バイトに応募。昨今は人手不足らしく、その場で内定が出て、「いつから働けますか? 明日から? 明後日から?」などと、店長はかなりの前のめりだったといいます。

 

こうして週に4日、5時間のアルバイトをスタートさせた川口さん。月収は月に10万円を超え、生活はずいぶんと楽になったといいます。川口さんのシフトは、平日9時~14時まで。10時のオープンに合わせ店を開け、ランチタイムのピークをこなして仕事を終えます。昼どきはひっきりなしにオーダーが入り忙しいものの、午前中はゆったりとした時間が流れ、川口さんもお気に入りの時間帯だとか。ただ水曜日の午前中を除いて。なんでもこの時間帯に決まって来店する、川口さんと同年代の仲良し3人組が気に食わないのだとか。

 

――声が本当に大きくて……何の話をしているか、すべてわかるくらい。せっかくゆったりと時間が流れる、朝の雰囲気が台無しです

――話題はお金の話が多いです。現役時代には決して給与の話なんてしなかったはずなのに、年金になるとお互いに「月何万円もらっている」みたいな話をするんですよね

 

おかげで、3人はみな月22万~25万円程度の年金を手にしていることがまるわかりなのだとか。元サラリーマンのなかでも勝ち組といえる存在です。さらに聞こえてくるのは、自慢話ばかり。

 

――どこどこの高級レストランに食べに行ったとか、どこどこのゴルフクラブを買ったとか、どこそこに旅行に行ったとか……先日も五輪に合わせてフランスに旅行に行ってきたと自慢していました。この円安のときに……聞き耳を立てなくても聞こえてくるんです。話が聞こえてくるたびに、私には叶えられない暮らしだなと、嫉妬に近いモノを感じる。そんな自分も許せません

 

人は人、と思いながらも、不快な気持ちになる水曜の朝。「またきた……」と、唇を嚙みながらオーダーを聞いているといいます。

 

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