「仕事はやりがいで選んできた」というサラリーマンの老後
65歳で仕事を辞め、年金生活を送っていた川口幸太郎さん(仮名・68歳)。貯蓄が十分にあるわけではないと、受け取れる年金の範囲で贅沢をせず、質素に暮らしていくことを心がけていたといいます。しかし、昨今の物価高により年金だけでは生活が難しくなってきたとか。
――毎月の年金は月12万円程度。手取りは月11万円ほどです。以前はトントンだったんですけど
そもそも貯蓄が十分にないのは、勤めていた会社に退職金制度がなかったことも一因。大学卒業後、志した業界は高給とは無縁の世界。ただ社会に貢献できる、仕事にやりがいがある、ということだけを糧に頑張ってきたといいます。
――きっと、どんな仕事よりも「ありがとう」とたくさんいわれる……それで十分だと思っていました
十分働いたから、一度ゆっくりしようと思い、年金受給のタイミングで仕事を辞めた川口さんでしたが、待っていたのは物価高に苦しむ毎日。「こんな老後になるなら……給与にこだわって働く手もあったのかな」と自問自答することもしばしば。
厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大卒サラリーマンの月収(所定内給与)の中央値は35.3万円。上位4分の1で47.9万円、上位10分の1なら63.8万円。一方で下位4分の1で27.5万円、下位10分の1で23.3万円です。
【大卒サラリーマンの給与分布】
~20万円未満:2.35%
20万~24万円未満:9.82%
24万~28万円未満:14.52%
28万~32万円未満:13.89%
32万~36万円未満:11.06%
36万~40万円未満:9.22%
40万~45万円未満:9.50%
45万~50万円未満:7.29%
50万~55万円未満:5.50%
55万~60万円未満:4.24%
60万~70万円未満:5.51%
70万~80万円未満:2.94%80万~90万円未満:1.50%
90万~100万円未満:0.87%
100万円以上:1.78%
大卒といってもランクもいろいろありますが、よーいドンで社会人になったにも関わらず、業種や会社規模、職種、役職……さまざまな点で差が生じ、残酷なほど給与差となります。