東京に限らず、大阪でも都心の新築マンションの平均価格は、驚異の億超え。そんな高い買い物を誰がしているのか……と思えば、たとえばDINKsと呼ばれる子どものいない夫婦。普通の会社員でありながら、夫婦力を合わせてタワマンを購入しているわけです。しかし、昨今、余裕に見えていたタワマン生活に暗雲が立ち込めているといいます。
2人で「年収1,500万円」の子のない夫婦…「1億2,000万円のタワマン」を余裕で購入のつもりが一転、「ローン破産の危機」に右往左往するワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

想定外の金利上昇…専門家の意見も分かれ

平均で億超えの都心の新築マンション。一部の富裕層だけが買っているかといえばそういうわけではなく、高層階を除き、購入しているのは一般層。なかでもDINKsと呼ばれる子どものいない夫婦は、昨今、タワマンを購入するメイン層とされています。DINKsとは「子どもを産まずに二人の生活を続けよう」と決めた夫婦のことで、一般層でありながら経済的に余裕があります。

 

中本浩一さん(仮名・41歳)・博美さん(仮名・39歳)も、都心のタワマンを購入したひと組。

 

――購入したのはコロナ禍前。結婚して間もないころです。お互い仕事を第一に考えていたので、それであれば通勤時間も短いほうがいい……そう考えて買ったのが、たまたまタワマンでした

 

会社の最寄り駅からは、住まいの最寄りまでは電車で15分ほど。さらに駅から住まいまでは徒歩3分もかからないとか。

 

――タワマンといっても、10階以下ですから「窓からの景色がスゴイ」というわけではありませんが、駅チカというのは本当にありがたいですね

 

販売価格は1億2,000万円ほど。頭金2,000万円、1億円を25年返済で借入れ。毎月の返済額は月36万円ほどになるといいます。

 

浩一さんの年収は900万円、博美さんは600万円、世帯年収は1,500万円になります。不動産会社からは「ご夫婦であればフルローンもいけますよ」と太鼓判を押してもらったといいますが、頭金を入れ、借入れは1億円に抑えたといいます。

 

――毎月の返済でほぼ僕の手取りは消えるので、ほかの生活費は彼女の給与で賄っています。あと、賞与で海外旅行。コロナが明けて、心置きなく旅行に行けるようになって、本当によかった

 

人生の三大出費といえば、住まいと保険と、子どもの教育費。そのうち子どもの教育費とは無縁の中本さん夫婦、タワマンに住み、好きなことをするという、何とも羨ましい生活を送っていました。しかし昨今、雲行きが怪しくなってきたといいます。

 

――やっぱり、金利の引き上げは気になります。専門家のなかでも意見はわかれていますが、5年ほどで1%ほど上がると主張する人もいるので……

 

ローンを活用し始めた頃の金利は0.6%。仮に1%上がると、毎月の返済額は4万円、年間で50万円ほども上がる計算だといいます。

 

――もし月4万円も返済が増えたら、とても今の生活は続けられない。手放すしか方法はなくなります

 

今後、住宅ローン金利は上昇すると主張する専門家がいる一方で、販売戦略上、それほど金利は上げられない、ローン金利上昇を受けて慌てて手放すのは絶対避けるべきという主張も。果たして、どちらの意見を参考にすべきか……中本さん、右往左往する日々が続いているといいます。