年金の振込額がわかる「年金振込通知書」。発送は原則として年1回、6月。ほか振込額が変わったタイミングでも送付され、今年10月には多くの年金受給者に届きました。その振込額をみて、怒りを覚える人もいるようです。
なぜ、こんなに税金が高いんだ!年金月20万円・68歳元サラリーマン、日本年金機構から届いた「年金減額の通知」に怒り (※写真はイメージです/PIXTA)

年金月20万円の元サラリーマン…唖然の手取り額

佐藤徹さん(仮名・68歳)。日本年金機構から「年金振込通知書」が届くたびに怒りを覚えるといいます。

 

――額面で20万円なのに……なんでこんなに引かれるんだよ

 

年金はすべて受け取れるわけではなく、給与と同じように額面から税金や保険料などが引かれます。

 

まず引かれるのは所得税。額面から各種控除を引いた所得に対し課税されます。「年金控除」「基礎控除」は誰もが受けられる控除で、年金控除は65歳以上であれば110万円、基礎控除は48万円。年金額面月20万円の佐藤さんの課税所得は82万円で、年金課税所得195万円以下であれば所得税率は5%です。

 

次に住民税。年金控除は所得税と同様110万円、基礎控除額は43万円となり、佐藤さんの課税所得は87万円。住民税の税率は10%で、さらに住民税には均等割り5,000円が定額で課税されます。所得によって変動しないので、基本料金のようなもの、と考えればいいでしょう。また自治体によっては、さらに環境保全などのためにの上乗せ分を設定しているケースもあります。

 

そして国民健康保険料。75歳以上であれば後期高齢者医療保険料となります。住民税とは違い、自治体によって金額は異なります。所得が低い場合は減額となる自治体もありますが、年金収入が240万円であれば減額はされません。佐藤さんの場合、年間16.5万円ほど引かれているそうです。

 

さらに介護保険料。たとえば渋谷区の場合、総所得によって17段階に分かれ、年金月20万円の人であれば、年間9万2,600円がかかります。

 

佐藤さんの場合、所得税が2.8万円、住民税が6.6万円、介護保険料や健康保険料などの社会保険料が26万円ほど。結局、年金額面は月20万円、年240万円の年金に対して、手取りは17万円、年205万円ほどなのだとか。

 

――毎回、毎回、税金が高いんだよ。30万円以上も引かれて……

――今回は(年金振込通知書が発送された10月)天引き額が増えますよ、振込額が減りますよってことだろう

――たまには景気のいい話を聞かせてくれよ

 

どうも怒りが収まらない様子の佐藤さん。

 

厚生労働省『令和5年国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯の59.0%が「生活が苦しい」と回答。前年度から10ポイント以上も上昇し、生活苦に直面する高齢者が増えています。

 

*「生活が大変苦しい」「生活がやや苦しい」の合計

 

長寿化、高齢化のなか、高齢者の負担はさらに増えていくことは確実。佐藤さんのように、憤慨する人もさらに増えていきそうです。

 

[参考資料]

日本年金機構『令和6年10月の年金支払いにかかる年金振込通知書を送付しています』

厚生労働省『令和5年国民生活基礎調査』