1on1の基本的な対話の流れ
1on1の進め方として、通常は次の順序で実施します。必ずしもこのとおり進める必要はありませんが、基本はこの順序である点を把握しておいてください。
1.雑談する。
2.部下の体調を気づかう。
3.感謝を示す。
4.テーマに入る。
5.次回1on1までに実行する部下の具体的な行動を聞く。
この順に従うと次のような会話例が考えられます。セリフは上司の言葉です。
1.「大谷翔平、先週5本も打ったね。見た?」
2.「花粉と黄砂が飛んでいるみたいだけど、体調はどう?」
3.「きのうは頼んでいた会議資料ありがとう」
4.「今期の重要施策の〇〇商事のプレゼンテーション、日時決まった?」
5.「きょうはここまでだね。最後に、次の1on1までに実行することを教えてもらえるかな?」
このように、まずは「雑談」で部下の緊張をほぐし、次に「部下の体調を気づかい」「感謝を示す」ことで、部下への関心が高いことを示しましょう。そうして本題へスムーズに入れるようにします。4と5が1on1の肝となるところです。主に経験学習の促進、キャリア、プライベートなどの話になります。1〜5について見ていきましょう。
1.雑談
「木戸に立てかけし衣食住」と一般的にいわれているのはご承知のとおりです※1。よく使われているのは、「休みはゆっくりできた?」「日曜日は天気よかったね。そうそう、大谷選手また打ったね!」など、気候や誰もが知っている話題だとスムーズに会話に入りやすいようです。昨今は趣味も多様化しているため、共通の話題とまではいきませんが、相手が興味のあるスポーツや音楽でしたら、その魅力を教えてもらうのもいいですね。家事や子育て関連も話題にできます。
ポイントは、リラックスしてテーマの話をはじめられるようにすること。もちろん最初は雑談だけでおわっても問題ありません。ただし、部下にたくさん話してもらいましょう。
※1 木戸に立てかけし衣食住:「き」は気候、「ど」は道楽=趣味、「に」はニュース、「た」は旅、「ち」は知人、「か」は家庭、「け」は健康、「し」は仕事、「衣」はファッション、「食」は食べ物、「住」は住まいや地域のことを指す。雑談や導入で活用されています。
2.体調を気づかう
「先週は花粉も黄砂も飛んでいたみたいだけど、体調はどう?」このようにして部下の体調を気づかいましょう。本人が気にしているようなことがあれば、言葉だけではなくノンバーバルな態度に出ることもあります※2。そのため上司は部下の言葉だけでなく、表情やしぐさなどもしっかり観察しましょう。
※2 ノンバーバル:ここでは言語以外の反応(表情、態度、話すスピード、話し方など)のこと。