がんはお金がかかるという印象が強い病気、がんへの備えはがん保険と考える人は少なくないでしょう。一方で、がん保険に加入していなくても、健康保険証があれば誰でも申請することができる保障があることをご存じでしょうか。本記事では、フリーランスで働く水谷さん(仮名)の事例とともに、がんでかかるお金と、公的保障「高額療養費」について、株式会社ライフヴィジョン代表取締役のCFP谷藤淳一氏が解説します。
大部屋に8日間入院で“請求額50万円”…乳がん罹患の年収450万円・40歳女性「病院食に1回460円は高い…」【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

がん保険のときのように、もう先送りにはしない

乳がんでの入院手術のあとは、特に別の治療の必要はなく定期的な検査を受けることとなった水谷さん。仕事を約1ヵ月休んでしまった分を取り戻すべく、いままで以上に仕事に励みました。

 

一方でフリーランスという立場上、今後なにかあったときの備えも考えなければいけないとも感じるように。少し調べてみると、一度がんになってしまうと医療保険やがん保険には加入ができないことがわかります。

 

そのため、いまある貯蓄や今後の収入から、将来に向けて資産運用などを考えていこうという思いになりました。資産運用に関して水谷さんはほとんど知識を持っていなかったため、つい最近自宅の周辺で活動しているFPがいることを知ったため、そのFPに相談してみることに。そこで水谷さんは、乳がんでの入院手術の際に利用可能であった保障の存在について知ることになります。

 

資産運用相談をしていると…

FPに資産運用の相談をした水谷さん。まず、このまま過ごしていった場合の将来の年金受給額のシミュレーションをチェックし、薄々は感じていましたが、年金だけではとても生活が成り立たないことを確認。いままでまったく関心を持っていませんでしたが、やはり自助努力で資産運用することが必要だと感じました。そして、70歳までの今後30年間に数%の利回りで資産運用した場合と、ほとんど利息の付かない預貯金にお金を放置した場合の資産額の違いに驚き、強い危機感を感じました。

 

なにもしてこなかったとはいえ、水谷さんもやはり老後に関しては不安を感じています。以前がん保険を考えたときのように先送りせず、これを機にアクションを起こさなければいけないと思いました。

 

そんな話のなかで、なんとなく半年前の乳がんでの入院・手術についての話題となりました。入院療費の自己負担額が50万円かかり、貯蓄を大きく取り崩し、がん保険加入を先送りしたことを後悔したことをFPに伝えた水谷さん。

 

すると、そのFPは急に真剣な表情になり、ある質問を水谷さんに投げかけてきました。