結婚を機に死亡保険に加入した、という人も少なくないでしょう。その死亡保険に死亡時以外の保障が付帯されていることが多いことをご存じでしょうか。本記事では夫が大腸がんに罹患した佐々木恵子さん(仮名/42歳・専業主婦)の事例とともに、リビングニーズ特約の重要性について、株式会社ライフヴィジョン代表取締役のCFP谷藤淳一氏が解説します。
2,000万円の保障が200万円に…“がん闘病中”の42歳夫に「死亡保険金」が出ると知らず大後悔。ほとんどの人が契約時にさりげなく付けている「特約の名前」とは【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

死亡保険は「死亡したときだけの保険」ではない

本記事は、

 

・いままさにがんと向き合っている

・がん保険には加入しておらず死亡保険のみ加入

・保険の担当者がいない(いても関係が希薄)

 

といった方のためにまとめてあります。本記事を読むことで、

 

・日本人の死因上位のなかでのがんの特殊性

・死亡保険はがんのときにも役に立つ

・困ったときに相談できる担当者の存在の大切さ

 

を知ることができます。死亡保険は「死亡したときだけの保険」という印象を持っている方も多いかもしれません。ですから死亡保険にしか入っていないとがんなどの病気の際には、加入中の保険は関係ないと判断してしまうと思います。

 

死亡保険に自動付帯されている『リビングニーズ特約』

ですが、死亡保険には一般的に『リビングニーズ特約』というオプションが自動付帯されていて、がんの状態が悪化したときに大きな助けになることがあります。その理由は、がんでは余命宣告を受けることが少なくないからなのですが、リビングニーズの存在を覚えていないといざというときに選択肢にならず、あとからそれを知って後悔してしまう可能性があります。

 

そういった意味で生命保険に加入する際には、本当に困ったときにどのような備えがあるのか、メインの保障以外にどのような選択肢があるのか、正確に知っておく必要があります。そしてもしそれが自力では難しい場合には、生命保険のこと、がんのことをよく学んでいる担当者を日頃から確保しておくことがとても大切です。そういったことについて、なぜ大切なのか事例をもとに一緒に見ていきたいと思います。

 

まさにいま、『死亡保険に加入しているが担当者との関係が希薄な』あなたへ、お届けしたい話です。

知識不足からの早まった判断を後悔

神奈川県横浜市在住で42歳の佐々木恵子さん(仮名)。

 

3ヵ月前に同い年の夫を大腸がんで亡くし悲しみに暮れた日々を過ごしていたのですが、ようやく前を向こうという気持ちになりかけていた今日このごろ。

 

ところが、夫の遺品整理をしている際に半年前に経済的な負担から解約をした夫の生命保険の資料が出てきて、なんとなくそれを見ていたところ、実は取り返しのつかないミスを犯していたことに気が付きます。自分の知識不足を後悔し、いまやりきれない思いになっているのです。

 

35歳のときに夫が生命保険に加入

佐々木さん夫妻は35歳のときに結婚。そのときに佐々木さんは勤めていた会社を退職し専業主婦に。その後の家計は年収1,200万円の会社員である夫がひとりで支えてきました。

 

結婚後しばらくして夫が保険会社に勤める大学時代の友人から生命保険に加入。夫は自分に万が一があったとき、妻である佐々木さんに経済的な心配をかけたくないと死亡保障を重視し以下の死亡保険に加入しました。

 

・終身保険 保険金額:2,000万円  月々の保険料:4万8,000円

・定期保険 保険金額:3,000万円  月々の保険料:7,000円

 

夫は健康には自信があったため医療保険やがん保険など病気関係の保険については見送り。また、月々の保険料が掛け捨てとなることもあまり好まなかったため、老後の貯蓄も兼ねて貯蓄型の終身保険を重点的に加入しました。

 

保険のプランニングや契約手続きの際には佐々木さんも同席し、夫の友人でもありFPでもある担当者から丁寧に説明を受け、今後も困ったときには相談できると安心感を得ることができました。