多くの人の夢である「マイホーム」。人生で最も高い買い物ともいわれるだけあり、ほとんどの人が「住宅ローン」を活用するでしょう。お金を借りる際に重要なのはなんといっても「信用」で、年収が高ければ審査は問題なさそうなものですが、実際には一筋縄ではいかないようで……。 本記事では、Aさん夫婦の事例とともに、住宅ローンに申し込む際の注意点について、CFPの伊藤貴徳氏が解説します。
ご希望に添えかねる結果となりました…世帯年収1,400万円・30代パワーカップルが、住宅ローン審査落ち。「そういえば」口を開いた夫に原因、〈銀行の総合的判断〉の正体【CFPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローンの審査に通るには

1.勤続年数が短い、年収が低い→借入額に見合う物件への見直し、頭金の増額

収入に対して借入額が多いと審査が厳しくなります。頭金を増やすことで住宅ローンの額を減額するか、少し安い物件を選んで借入額を減らすことで、審査に通りやすくなります。

 

勤続年数が短い場合、特に転職直後などは、金融機関からは「安定していない」と見なされることがあります。数年間同じ職場で働き続けることで、収入の安定性が証明され、審査に通る可能性が高まります。

 

2.ほかに借入がある→完済する

既存の借入がある場合は、住宅ローン申込前に完済しましょう。これにより信用スコアを向上させることが可能です。特に、クレジットカードのキャッシングなどの高利な借金は、早めに返済することをおすすめします。

 

3.信用情報に問題がある→5年待つ、パートナー名義でローンを組む

過去にクレジットカードや奨学金などの滞納がある場合、信用情報機関に登録されている場合があります。いわゆる「ブラックリスト」という状態です。この場合、一般的に5年間は情報が残るとされています。ローン審査の際に保証会社は信用情報を確認するため、滞納歴が発覚すると大きなマイナスとなる場合があります。

 

信用情報は、自身でも確認することができます。CICやJICCといった信用情報機関で自分の信用情報の開示請求を行い確認しておくことも手です。

待つか、買うか…夢のマイホームを実現するために重要なポイント

A夫妻は、これから生まれてくる子のためにも、購入を先送りにせず、妻名義で購入することを決めました。幸い貯蓄は堅実に行ってきたので、頭金を多く出し、妻フルローンでも対応可能な金額までローン金額を下げることにより、審査を通す方向でいるとのことです。

 

「いま買うのをやめてしまうと、これからの生活を考えたときに住宅購入の検討自体をやめてしまう気がしたから」とA夫妻は言います。

 

住宅は人生で最も大きな買い物とされています。だからこそ慎重な計画が必要ですが、マイホームを必要とすべきタイミングにも関わらず先送りにしなければならない、といった状態は避けたいものです。

 

「我が家は、いまが一番マイホームが必要なタイミングだと感じたんです」とAさんの妻は話します。

 

ライフステージの変化により、家族それぞれにタイミングはあります。それは突然やってくるかもしれないし、数年後かもしれません。どのような状況となっても目標を実現させることができるような計画を立てることができるよう、日ごろから準備を行っていただけたらと思います。

 

 

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス

代表