不動産投資における「デッドクロス」という言葉をご存知でしょうか。デッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回る状態を指します。この状態になると、帳簿上の利益が増加し、所得税額が増えるため、資金繰りが悪化する可能性があります。本コラムでは、デッドクロスの発生原因やキャッシュフロー悪化につながるメカニズム、デッドクロスを避けるための物件購入前後の対策、キャッシュフローが悪化するリスクに対処する方法も解説します。デッドクロスを正しく理解し、不動産投資の成功に役立てましょう。

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節税目的でデッドクロスが避けられなくなった時の対策

(画像:PIXTA)
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前述したとおり、節税目的で築古の物件を購入する場合や長期でローンを組んで保有する場合、デッドクロスは避けられないことが多いです。そこで、ここではデッドクロスが避けられなくなった際の対策を解説します。

 

・収益性を向上させる努力をする

・売却を検討する

・新たに物件を購入して減価償却費を増やす

 

収益性を向上させる努力をする

相場に合った家賃の値上げや経費の見直しなど、物件の収益性を向上させる努力をすることで、キャッシュフローを改善し、デッドクロス後のキャッシュフローを改善できます。以下の表に、物件の収益性を向上させる具体的な対策をまとめました。

 

 

上記の対策においていくつか注意点があります。リノベーションや入居者サービスの向上には資金が必要になります。また、家賃の適正化においては、市場動向を見極めずに行うと空室リスクにもつながるため注意が必要です。適した方法で収益性の向上を目指しましょう。

 

売却を検討する

デッドクロスの影響が大きくなる前に、適切なタイミングでの売却を検討することが重要です。市場動向を見極め、物件価値が上昇している時期を狙って売却することが効果的です。

 

特に、売却する年の1月1日現在で所有期間が5年を超えていると長期譲渡所得として税率が優遇されるため、税金面でも有利な時期を選ぶことが大切です。また、売却によって得られるキャピタルゲインを新たな投資や負債の返済に活用することで、全体的な財務状況を改善できる可能性があります。

 

新たに物件を購入して減価償却費を増やす

新たな物件を購入することで、新しい減価償却費を生み出し、デッドクロスの影響を軽減することが可能です。物件選びでは、収益性や立地、将来性を十分に考慮し、特に減価償却による効果を最大化できる物件を選ぶことを検討しましょう。また、リノベーションを通じて新たな減価償却費を生み出すという方法もあります。

 

このような戦略を長期的な視点で実施することで、デッドクロスの影響を最小限に抑え、投資の成功につなげることができます。