心が病む「小学校教師」が増加…復職は2割だけの現実
学級崩壊の要因は、学級担任の指導力不足や学校の対応の問題、家庭や地域社会の教育力の低下などが考えられますが、何かひとつだけが要因ということはなく、さまざまな要因が複合的に混ざりあい、学級崩壊を引き起こします。
決して林先生だけが責任を感じる必要はないのですが、夏休み明け、ますますヒドクなるクラスの状況をみて「さすがに心が折れました」とポツリ。次の日から登校ができなくなり、そのまま休職となったといいます。
文部科学省『令和4年度公立学校教職員の人事行政状況調査』によると、小学校における病気休職者は4,230人。そのうち精神疾患は3,202人で在職者の0.77%にあたります。
年齢別にみていくと、「20代」が1,288人で在職者の0.84%、「30代」が1,867人で在職者の0.84%、「40代」が1,598人で在職者の0.85%、「50代以上」が1,598人で在職者の0.60%。そして精神疾患を理由に休職をした教師のその後については、復職が39.9%、引き続き休職をしているのが19.4%、退職をしたのは19.4%でした。
精神疾患による病気休職者と1ヵ月以上の病気休暇取得者の過去5年間の推移をみていくと、2018年4,290人、2019年4,729人、2020年4,691人、2021年5,532人、2022年6,098人と確実に増加傾向。この状況に対して、いまのところ有効な改善策はないようです。
総務省『令和5年 地方公務員給与実態調査結果』によると、小学校教師の平均月収は地域手当や扶養手当を合わせて38万7,324円。それに対し、会社員(正社員)の平均月収は諸手当込みで36万6,900円。平均給与は民間企業を上回ります。
しかし、教員人気は下降線で危機的状況。その要因のひとつが、どんなに働いても残業代が出ない(正確には教職調整額として基本給に4%がプラスされている)ことだとして、教職調整額を13%にする改善案が進められています。
しかし、林さんのように休職する教師の姿をみていくと、残業代が増えたところで、と思わずにはいられません。
[参考資料]