「いつまで働きますか?」と聞かれたら、何と答えるでしょうか。平均寿命はどんどん伸び、定年後、20年以上生きる可能性が高いなか、「働けるうちは働く」が正解でしょうか。そのようななかでも老後生活への不安感が薄れ、仕事を完全に辞めることのできる人たちには、穏やかで幸せが待っています……とはいかないこともあるようです。
あなた、いつまでいるのよ…帰省から2週間、一向に帰らない32歳の次女と孫2人。夫婦で〈退職金4,000万円〉〈年金月36万円〉65歳の定年夫婦が絶句した「次女の告白」 (※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者が仕事を辞めるタイミングはいつか?

2023年、65歳以上の就業者は914万人。2004年以降、20年連続で増え続けています。65歳以上の就業率は25.2%。「65~69歳」に限ると52.0%、「70~74歳」で34.0%と、70代を迎えると、ようやく働く人のほうが少数派となります。

 

現在、60歳を定年する企業が大半。定年以降も働ける環境はどんどん整備されていきますが、そもそも、なぜ定年以降も働くのか……それは長寿化に伴う生活不安。

 

厚生労働省『簡易生命表(令和5年)』によると、2023年の日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳。60歳定年から考えて、男性で20年強、女性に至っては25年以上もあります。これはあくまでも平均なので、60歳からの平均余命から考えると、さらに長く定年後の生活を考えないといけません。

 

一方で、現状、老齢年金の受給開始は65歳。もし60歳で定年、そして仕事を完全に辞めるとなると、5年間、基本的に無収入という状況となります。

 

学校を卒業し社会人となってから働いてお金を得る、という経験を積み重ねてきた人たちにとって、お金が減っていくばかりという状況は不安でしかありません。「それであれば、とりあえず65歳まで働くか」というのが王道的な考え方といえるでしょう。

 

内閣府『令和6年版高齢社会白書』で、「65歳以上の者の経済的な暮らし向き」についてみていくと、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」は12.0%、「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」は56.5%、「家計にゆとりがなく、多少心配である」が23.7%、「家計が苦しく、非常に心配である」が7.5%。つまり3割の高齢者が家計に不安を抱えています。

 

不安を抱えている人の割合を年齢別にみていくと、「65~69歳」で34.3%、「70~74歳」で31.8%、「75~79歳」で33.3%、「80歳以上」で26.2%。3割を割り込むのは、80歳を越えてから。高齢者の一定数は、常に家計の心配を抱えながら生きていかなければならない……それが現状です。