物価高が続くなか、実質賃金がプラスに転じ、明るい兆しがみえてきたなか、まだまだ浮上できずに苦しむ人たちも。東京のド真ん中で貧困生活を続ける若者の実態とは?
正社員でも「手取り14万円」29歳元サラリーマン、家賃を払えず強制退去…東京の真ん中で「フリーWi-Fiを探しさまよう」貧困生活 (※写真はイメージです/PIXTA)

令和の米騒動…米高騰に嘆きも「米を炊ける環境なだけ、まだまし」

――お昼、お弁当

――はい、家でおにぎりを握ってきました。今月(生活が)苦しくて

――偉いね

――お米さえあれば何とかなります

 

そんなオフィスでの会話。入社間もない学卒者は、まだ給与も低く、1人暮らしだと家計もひっ迫。ランチにお金をかけるわけにもいかず、手作り弁当を持参するというのは定番。なかでもおにぎりは、定番中の定番かもしれません。

 

たとえば米5キロで考えてみましょう。コンビニのおにぎりは1個100グラムほど。米3分の1合で1個のおにぎりが作れます。そして1合のお米は炊いたあと、約300グラムになるので、米5キロあれば、おにぎりが105個作れる計算になります。お昼におにぎり2個作って持ってくるとしたら、2ヵ月くらいは持つことになります。

 

そう考えると「お米さえあれば何とかなる」はまさにその通り。しかしそんな米が高騰しているのは、多くの人が知っているところ。総務省統計局『小売物価統計調査統計調査』によると、2024年8月の米5キロ(コシヒカリを除く)は全国平均2,650円。前年8月が2,043円なので、実に3割も高くなっています。

 

おもな都市別にみていくと、最も高いのが「東大阪市」で米5キロが3,650円。「西宮」「大津市」「相模原市」「和歌山市」と続きます。一方で最安値は「八戸市」で2,139円。「盛岡市」「松山市」「旭川市」「高松市」と続きます。日本の主要都市のなかで1,500円も差が生じているわけですから、地域によって実感値は異なるかもしれませんが、米の高騰は、生活苦を自炊で乗り越えようとしている自炊サラリーマンを苦しめています。

 

――米を炊けるだけいいですよ

 

鈴木翔太さん(仮名・29歳)。米を炊きたくても炊けない、そのワケは? 実は鈴木さん、今は家なし。家賃が払えず強制退去。今は友人の家を転々と、時には野宿をしながら暮らしているといいます。