自民党総裁選で小泉進次郎氏が打ち出した解雇規制の見直しを巡り、各所で盛んに議論が繰り広げられています。その際、ひとつのキーワードとしてあがる「ジョブ型雇用」。一部の大手企業などですでに導入されている雇用制度です。本記事ではSさんの事例とともに、正規社員の解雇規制緩和によって想定されることについて、長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
ジョブ型雇用で年収2,400万円の45歳サラリーマン、「転職前の年収450万円だったころ」に戻りたいと嘆く理由…正規社員・解雇規制緩和の「皮肉な処方箋」【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

解雇規制緩和の処方箋とは

いま思うと、前職の社長が歩合制や解雇制度を嫌っていた理由がなんとなくわかるようになりました。当時のSさんはそれを負け犬の論理などと揶揄していたのですが、その会社はコロナ禍も業績を伸ばし続けていました。「あの場所にいつづけたら、ほかにもできることがあっただろう」とつぶやきます。

 

解雇規制の緩和が中小企業にまでに広がったら、同じことが全国で起きるかもしれません。年齢、キャリア関係なくコスパが悪いとされたら簡単に解雇されてしまう。そんな毎日でいまと同じマインドで仕事ができるかというと疑問です。解雇されて次の仕事がすぐに見つかるのは、能力が高く大手企業の経歴がある人だけかもしれません。

 

解雇規制の緩和が始まったら、個人のライフプランニングにはより一層のリスクヘッジが必要となります。その処方箋が「無関心と個人主義」だとしたら、労働者にとって生きづらいだけの社会となるかもしれません。
 

 

長岡 理知

長岡FP事務所

代表