将来を見据えた資産運用が必須といわれている昨今。一方で「投資をしたことがない」という人も半数近くにのぼります。低収入の若年層だと「元手になる資金がない」という理由で、投資したくも投資できないというジレンマを抱えている場合も。しかし、そこで起死回生を狙うと、とんでもない事態に直面するケースもあるようです。
親に激怒されました…手取り22万円・東京で必死に生きる「31歳独身サラリーマン」、彼女との結婚を目指した挽回策が空振りに終わる悲劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

低収入で結婚ができません…そのとき目に入った「SNS広告」が悲劇の始まり

手取りにすると22万円ほど。しかもその頃、今のように実家暮らしではなく、都内で1人暮らしをしていたとか。

 

――毎月、必要最低限の出費だけでもカツカツでした

 

東京で必死に頑張る中山さんでしたが、さらなる悲劇が襲います。厚生労働省の調査によると、平均初婚年齢は男性で31.3歳、女性は29.7歳。ちょうど大学の同級生が次々と結婚していく頃。中山さんも交際歴3年の彼女がいて、そろそろ自分も……というタイミングでした。しかし

 

――手取り22万円だと、経済的に結婚を考えるには不安で

 

彼女の焦る気持ちから「短期的に儲ける方法はないか……」と追い込まれるようになったという中山さん。そこで目に留まったのが「今がチャンス!」というSNS広告。短期間で大金を稼げるという情報商材でした。総額200万円。どうでしょう、みなさんなら買うでしょうか。しっかりと見極める必要がありますが、通常であれば訝しく思うもの。しかし、追い詰められ、起死回生を狙っていた山中さん「正常な判断ができなかった」と振り返ります。

 

藁にもすがる思いで購入を即断したものの、購入するお金がありません。そこで利用したのが、消費者金融。「お金を稼いで、すぐに返済する!」と短絡的に考えたといいますが、ここからは負のスパイラル。情報商材を200万円で購入→でも1円も儲からない→借りたお金を返せない→膨らみ続ける借金……。

 

――もう無理だ!

 

助けを求めたのは実家の両親。

 

――それはそれは修羅場でした

 

あれほど激怒する親をみたことはないと振り返る中山さん。それでも両親は息子のピンチを救ってくれたといいます。

 

中山さんはその後、都内で1人暮らししていたアパートを引き払い、実家に舞い戻り。通勤で片道1時間半かかりますが、実家暮らしで出費を抑えているといいます。

 

――結婚はまだ当分先。それまで彼女が待ってくれるかどうか

 

消費者庁『令和4年版消費者白書』によると、若者(15~29歳)の情報商材に関する消費商談件数は、「2017年」1,002件→「2018年」1,753件→「2019年」2,496件→「2020年」3,022件→「2021年」4,088件と急増。もちろん情報商材のすべてが悪いモノではありませんが、一部、詐欺にも近いようなモノで、多額の借金だけ抱えてしまうような事例が増えています。

 

冒頭にあるように、投資は長期で考えるのが基本で、短期的に儲けるのはプロでも難しいことです。「こんなのに引っかかるなんて……」と思いつつも、切羽詰まったときには正常な判断ができなくなるもの。このようなトラブルに直面し、人生を棒に振らぬよう、気を付けたいものです。

 

[参考資料]

株式会社FreeLifeConsulting『投資に関するアンケート調査』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

厚生労働省『令和5年(2023) 人口動態統計月報年計(概数)』

消費者庁『令和4年版消費者白書』