育ち盛りの子どもがいて、毎日大忙しのなか、一家の生活を支える大黒柱がいなくなったら……そんな家族を支える公的保障が「遺族年金」。きちんと年金保険料を納めていれば、十分か十分ではないかはさておき、家族を支えてくれます。ただ公的保障は一生涯というわけではない場合もあるようです。
夫が亡くなり20年、必死に生きてきました…退職金600万円・65歳女性、年金事務所で知る「遺族年金ゼロ」の衝撃事実に「何かの間違いでは?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

一家の大黒柱の夫が急逝…遺族年金は月16万円

今年、65歳となった池田洋子さん(仮名)も、“万が一”に対する備えを後回していた人のひとり。20年前に同い年の夫を突然失い、窮地に立たされたといいます。

 

当時、子どもたちは、長男が中学1年生、次男が小学校6年生、末っ子長女が小学校4年生。洋子さんは長男が生まれた際に仕事を辞め、専業主婦でした。

 

――子どもたちには父親が亡くなったというハンデを負ってほしくない……夫が亡くなって20年、とにかく必死に生きてきました。

 

夫が亡くなった際、家族の医療保障については準備万端だったものの、夫が亡くなった際の死亡保障は500万円程度だったといいます。

 

――500万円で3人の子どもを育て上げる……とても無理な話です。

 

そこで洋子さん、12年ぶりに仕事復帰。運よく毎日9時~18時でできる事務職につくことができひと安心。そして夫を亡くした洋子さん家族を支えたのは、もうひとつ、遺族年金。国民年金に由来する「遺族基礎年金」は、子どもが18歳になった年度の3月31日まで受け取ることができ、その額は「81万6,000円+子の加算額」。子ども1~2人目は各23万4,800円、3人目以降は各7万8,300円(令和6年度)。

 

厚生年金に由来する遺族厚生年金額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額。報酬比例部分の計算で300ヵ月に達していない場合は、300ヵ月として計算します。

 

洋子さんが手にできたのは、遺族基礎年金が月11.3万円、遺族厚生年が月4.8万円。合わせて16.1万円ほど。これで家族4人が生きていくのは難しいかもしれませんが、あるのとないのとでは大違いだったといいます。

 

洋子さんが54歳のときに子ども全員が大学生になり、遺族基礎年金は受け取れなくなります。その代わり、遺族厚生年金に「中高齢寡婦加算」、年61万2,000円をもらえるように。元々の遺族厚生年金と合わせて月10万円弱。これもあるのとないのとでは大違いだったといいます。

 

そして洋子さん、65歳。20年勤めた会社を定年退職し、退職金として600万円を手にしたといいます。

 

――まさか、退職金がそんなにもらえるなんて思ってもいなかったので……正直嬉しかったです