育ち盛りの子どもがいて、毎日大忙しのなか、一家の生活を支える大黒柱がいなくなったら……そんな家族を支える公的保障が「遺族年金」。きちんと年金保険料を納めていれば、十分か十分ではないかはさておき、家族を支えてくれます。ただ公的保障は一生涯というわけではない場合もあるようです。
夫が亡くなり20年、必死に生きてきました…退職金600万円・65歳女性、年金事務所で知る「遺族年金ゼロ」の衝撃事実に「何かの間違いでは?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金生活突入で知る「遺族厚生年金はゼロ」の事実

これからは年金生活。洋子さん、厚生年金は月7.7万円。併給の老齢基礎年金と合わせて月14.5万円程度を受け取れる計算です。さらに遺族年金。月25万円程度になるのかな……そんなことをぼんやりと思って、年金事務所に手続きにいったとか。そこで想定外の事実を知らされます。遺族厚生年金の考え方をまったく間違えていました。

 

65歳以上で老齢厚生年金を受け取る権利者が、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受け取るときは、「死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と自身の老齢厚生年金の額の2分の1の額を合算した額」を比較し、高いほうが遺族厚生年金となり、洋子さんの場合、65歳から受け取れる遺族厚生年金は月7万円程度になります。

 

さらに老齢厚生年金をもらう権利のある人は、まず老齢厚生年金は全額支給。遺族厚生年金は「遺族厚生年金-老齢厚生年金」の差額分だけ上乗せされます。つまり老齢厚生年金のほうが大きい場合は、「遺族厚生年金はゼロ円」ということになり、洋子さんの場合も同様。65歳以上にもらえる年金額は、自身の年金額、月14.5万円程度ということになります。

 

――えっ、遺族年金、ゼロですか?

 

夫が亡くなり20年の間、ずっと夫の遺族年金に支えられてきた、それなのに、突然ゼロ円って……要kさん、思わず、年金事務所で大きな声を出してしまったといいます。

 

――夫が亡くなり20年間、必死で生きてきました。そして今回、遺族年金がとうとうゼロ円に……もう夫の力は借りずに生きていけ、ということなんですかね

 

子どもたちはそれぞれが家庭を持ち、長男夫婦との間には初孫も。今後、子どもたちを頼りにすることもできませんし、自身の年金月14万円強では安心もできません。

 

――週に3回くらい、パートか何か……

 

洋子さん、現在、自宅近くで仕事を探しているといいます。

 

[参考資料]

公益財団法人生命保険文化センター『2022(令和4)年度生活保障に関する調査』

日本年金機構『遺族年金(受給要件・対象者・年金額)』