定年と同時に仕事を辞める人は、1~2割とされています。その少数の人たちは、綿密なプラニングのもと「よし、これならお金の心配はなし」となった、いわゆる勝ち組。しかし、綿密なプランニングも完璧というわけではなさそうです。
〈退職金計3,200万円〉の60代夫婦、定年祝いに〈豪華クルーズ旅行〉を楽しんでいたが…悠々自適な老後が「70代夫婦との出会い」で一変、「老後破産」に怯えるようになったワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

クルーズ船で出会った70代夫婦と〈趣味友〉になったが…「お金、足りるのかしら?」

帰国した後も、クルーズ旅行で出会った70代夫婦と会うような間柄に。そして誘われるがままに博さんはゴルフを、順子さんは社交ダンスを始め、どんどんのめり込んでいったとか。

 

しかし、そこで一抹の不安が。

 

――このままだとお金が足りず、老後破産をしてしまうのではないか

 

ゴルフを始めるにあたり、道具を揃えるのにはそれなりにお金がかかりますし、日々の練習にもお金がかかります。さらにコースに出るようになると、もっとお金がかかるようになりました。社交ダンスも同様です。衣装は想像以上に高く、レッスン代もかさみます。

 

もともと無趣味といえるほどだった松本夫妻。自身の老後の計画では「年金だけでも生活していける」と考えていたものの、余計な出費は想定していませんでした。

 

【松本さん夫婦の老後計画】

◆65歳時点の貯蓄残高:2,600万円

‐貯蓄+退職金=5,000万円

‐定年のご褒美としてのクルーズ旅行=600万円

‐65歳までの生活費=1,800万円

◆65歳以降の生活費…月27万円

‐年金:夫婦で手取り月27万円

‐1ヵ月の支出:27万円

 

ただ一度、楽しみを知った趣味を簡単にやめることはできません。またいつまで健康でいられるかわかりませんが、想像以上に長いであろう老後。特に楽しみもなく、淡々と過ごしていくのも、今考えれば苦痛でしかありません。

 

――お金が足りない分は、働くしかないか……

 

定年で完全引退したつもりでしたが、松本さん夫婦のスマートフォンには、単発バイトが見つかるアプリがインストールされています。

 

[参考資料]

内閣府『生活設計と年金に関する世論調査(令和5年11月調査)』

厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 』