ホームヘルパーなどを利用しながら、介護と仕事の両立を目指す……そういう人は増えていますが、介護度が上がると負担は大きくなっていき、限界を迎えることも珍しくありません。そんなときに老人ホームに入居させるのが有力な選択肢となりますが、そこには精神的な大きなハードルがあるようです。
ずっと後悔しています…「老人ホーム」を嫌がる〈年金15万円・79歳母〉を無理やり入居。47歳ひとり娘、涙が止まらない (※写真はイメージです/PIXTA)

老人ホーム入居かどうか、「要介護3」が分かれ道

厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』で、要介護者からみた主な介護者の続柄をみていくと、家族で最も多いのが「同居の配偶者」で22.9%。「同居する子」16.2%、「別居の家族等」11.8%、「子の配偶者」5.4%、「同居のその他親族」1.2%と続きます。ちなみに家族ではない「事業者」は15.7%でした。

 

介護は肉体的にも精神的にもキツイものですが、主な介護者の介護時間を要介護度別にみていくと、要介護3になると、半日以上を介護に要する介護者が半数を超えます。

 

在宅介護の場合、通常は訪問介護などを利用しながら、介護と仕事を両立させていきます。しかし日常生活のあらゆるシーンでサポートが必要になる要介護3にもなると、仕事をしながら介護をすることに限界を感じ退職。結果、介護に携わる時間も増加する……そういうケースが多いことが、この結果からも読み取ることができます。

 

【介護度別「主な介護者の介護時間」】

◆要介護1

ほとんど終日…11.8%、半日程度…8.9%、2~3時間程度…12.4%、必要なときに手をかす程度…55.3%

◆要介護2

ほとんど終日…17.0%、半日程度…12.3%、2~3時間程度…16.4%、必要なときに手をかす程度…45.0%

◆要介護3

ほとんど終日…31.9%、半日程度…21.9%、2~3時間程度…11.5%、必要なときに手をかす程度…26.0%

◆要介護4

ほとんど終日…41.2%、半日程度…20.0%、2~3時間程度…9.4%、必要なときに手をかす程度…17.4%

◆要介護5

ほとんど終日…63.1%、半日程度…17.2%、2~3時間程度…9.1%、必要なときに手をかす程度…2.5%

 

自宅で転倒し、骨折をしたのを機に要介護となった母(79歳)を在宅介護する、佐々木直美さん(仮名・47歳)。直美さんはひとりっ子。小さい頃に両親は離婚し、ひとりで直美さんを育ててくれました。そのため介護が必要となった母親を全力でサポートしたい、という気持ちが強かったといいます。

 

当初、要介護とはいえ手を貸さなければならないシーンは限定的でした。ところが認知症も発症すると、介護負担は増加。近頃は、昼間は訪問介護をお願いし、夕方ごろにバトンタッチ、という生活を送っているといいます。