老後の生活を考えるうえでも重要なのが年金。夫婦共働きであれば、受取額も十分で、何の心配もなさそうに思えますが、絶対安心というわけではなさそうです。
年金は65歳でもらっていればよかったよ…年金増額で月30万円・72歳で引退のサラリーマンが「年金の繰下げ受給」を悔やむ理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金の繰下げ受給…自営業者でも「年金だけで暮らせる」が可能に?

内閣府が行った調査によると、「年金」を中心に老後の生活を設計している人が9割弱に及びます。圧倒的多数の人が老後、年金が頼りというわけです。

 

そこで「できれば年金だけで生活できれば……」と考えるでしょう。その思いに応えるものとして注目されるのが「年金の繰下げ受給」です。

 

これは原則65歳から受け取れる老齢年金を、66~75歳の希望するタイミングで受取り開始とできる制度。1ヵ月遅らせるごとに、65歳で受け取る年金額が0.7%ずつ増額。75歳まで受給開始を遅らせると、年金受取額は1.84倍となり、それが一生涯続きます。

 

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、老齢厚生年金受給者の平均受取額は併給の老齢基礎年金と合わせて月額14万4,982円。老齢基礎年金のみ受け取る人たちの平均は月額5万6,316円です。これが65歳で受け取る年金だとすると、70歳で受取り開始だと、厚生年金受給者は月20.5万円、国民年金受給者は月7.9万円に。75歳で受取り開始だと、厚生年金受給者は月26.6万円、国民年金受給者は10.3万円に。大きく増やすことができます。

 

【繰下げ受給した場合の各年齢の受取額】

65歳:14万4,982円/5万6,316円

66歳:15万7,160円/6万1,047円

67歳:16万9,339円/6万5,777円

68歳:18万1,517円/7万0,508円

69歳:19万3,696円/7万5,238円

70歳:20万5,874円/7万9,969円

71歳:21万8,053円/8万4,699円

72歳:23万0,231円/8万9,430円

73歳:24万2,410円/9万4,160円

74歳:25万4,588円/9万8,891円

75歳:26万6,767円/10万3,621円

 

ライフスタイルや家族構成などによりますが、自営業の場合は原則、保険料を40年間払って満額受給となる老齢基礎年金のみ。令和6年度、満額支給で6万8,000円です。これだけで暮らしていくとなると、なかなか難しいですが、仮に75歳まで繰り下げると、12万5,120円。ちょっとした希望が見えてきました。