国家公務員だからといって「生涯安泰」とは限らない
夫婦ともに国家公務員だったという、高橋和夫さん・由紀子さん夫婦(ともに仮名)。60歳で定年を迎えたのち、和夫さんは民間企業に契約社員として60代後半まで勤務、由紀子さんは定年を機に完全引退。現在、夫婦で受け取る年金額は月40万円。退職金をふたりで4,000万円程度を手にしたうえ、コツコツと預貯金もしてきたので、「おかげさまでお金の心配はないですね」とニッコリ。悠々自適な老後をおくっているというから、何とも羨ましい限りです。
人事院『令和5年度 退職公務員生活状況調査』によると、定年した国家公務員の世帯の家計の状況について、「ゆとりがある(「十分ゆとりがある」「いくらかゆとりがある」の合計)」は18.0%、「ゆとりはないが、赤字でもない」が38.8%、「時々赤字が出る」が23.3%、「生活が苦しい」が18.2%でした。
国家公務員といえば、何といっても安定性が魅力。しかし高橋さん夫婦のように、安泰の老後を手に入れるケースは稀のよう。そもそも高橋さん夫婦も、ともに国家公務員だったから、という特殊事情が、現在の安泰に繋がっていると考えられ、世間一般的な「国家公務員になれば生涯安泰」というイメージは、いまや昔なのか、そもそも単なるイメージでしかなかったのか……。
ちなみに国家公務員であれば定年退職金が平均2,000万円程度になりますが、その退職金、どのように使っているのでしょうか。先ほどの調査によると、最も多いのが「将来やいざというときの備え」で77.8%。「住宅・土地の取得、住宅の増・改築」が49.9%、「日常生活費への充当」が49.0%、「車・家具等の耐久消費財の購入」が38.0%、「海外旅行・国内旅行費用」が22.2%、「子の教育・結婚等の費用」が22.2%と続きます。多少は“自分たちのご褒美”に使いつつも、万が一のために貯蓄しておく……ここからも、決して安泰とはいえない国家公務員の定年あとの暮らしを垣間見ることができます。