実家を出るという経験をした人は多いでしょう。その理由として多いのは、「進学」「就職」「結婚」あたりが多いですが、なかには、とんでもない理由で「実家を出ざるを得ない」というケースもあるようです。
いまだ親離れのできない「月収18万円・42歳の非正規男性」…ある日、強制的に実家を出ることになった〈まさかの理由〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

自由気ままに生きてきた40代男子に突きつけられる「実家強制退去」

――生まれて一度も実家を出たことはありません

 

鈴木健太郎さん(仮名・42歳)。大学生のころから音楽活動にのめり込み、気が付けば40代だったと笑います。3人兄弟の末っ子。長男と次男は順調にキャリアを重ね、それぞれ家庭を築いています。それだけに健太郎さんの存在は親戚のなかでも異彩を放っているといいます。

 

「お兄ちゃんたちのようにしっかりとしなさい」といわれてきたかといえばそんなことはなく、「1人くらい、変な人がいてもいいんじゃない」と完全に放任主義。そんな両親のスタンスに甘えてここまで来てしまった……というのが真相です。

 

とはいえ、万が一のときに1人でも生きていけるように……という意識はあり、シフトの自由がある程度きく飲食店で週5でアルバイト。ただライブのある月はシフトに入れなくなるため、収入の波は大きく、平均すると月収18万円程度とのこと。

 

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、男性(常用労働者)の月収の中央値は30.8万円。上位25%で41.0万円、上位10%で54.3万円。対し、下位25%で24.5%、下位10%20.3万円です。月収18万円となると下位4.4%になります。

 

――仕方がないですよ、好きなこと、やっているのだから

 

他と比べて圧倒的に低収入であることはまったく気にしていない様子。「それでも自分で保険料払っているんだから、すごくないですか?」と、どこまでも明るく話します。

 

自由を謳歌する生活でしたが、突然、終止符が打たれることになります。健太郎さんの父(72歳)、母(70歳)が離婚することになり、親子3人(前述のとおり、長男と次男は実家を出ている)が暮らす実家は売却することにしたというのです。

 

――えっ、俺はどこに住めばいいの?

 

高齢の両親の突然の離婚にパニックになったという健太郎さん。「大人なんだから、なんとかしなさい」と軽くあしらわれたといいます。