義母の介護からの解放…用意周到だった離婚劇
最期、義母は認知症も進み、コミュニケーションらしいコミュニケーションもできなかったといいます。ただ義母が亡くなって美奈子さんが感じたのは、「これで嫁としての務めは終わった」という達成感でした。
――仲は悪かったですが、きちんと義母を看取ることができた……よかったです
ただし、ここでも問題は、ほぼ美奈子さんに介護を任せていた夫。義母の介護に対して、ひと言でも労いの言葉があればよかったのですが、「嫁なんだからやって当然」というスタンス。むしろ義母が生きていた頃は、自分で何かするわけでもないのに、介護に対して口だけは出してきたといいます。
――母さんが気持ち悪い思いをするだろ。早く(シーツを)替えろよ
――母さんが呼んでいるだろ、早くいけよ
「今思い出すだけでも腹が立ちます」と美奈子さん。そこで義母の介護が終わったら決意していたことがあったといいます。
――あなたとは、もう一緒にいられません。離婚してください
そう切り出し、夫にあとは判を押せば提出できる離婚届を叩きつけます。夫は、突然の離婚話に驚いた様子だったとか。
離婚話は用意周到に準備してきました。現在、美奈子さんが受け取る年金はほぼ老齢基礎年金だけで、月7万円程度。これだけで生活できるとはいえません。そこで財産管理を任されていた美奈子さんは、まず結婚してからの預貯金を2つの口座に分けて、家を出ていくときに持っていけるようにしたといいます。
――結婚してからの貯金は、半分もらっても問題ないわよね
――あなたの年金もちゃんと財産分与してもらうわ
――住宅ローンがあと400万円残っているけど、好きにしたらいいわ。ここはあなたの家なんだから
何とか「ちょっと待ってくれよ」と言葉を絞りだした夫。しかし美奈子さんは「このままだと、あなたの介護までしなければならなくなる。あなたの面倒なんて、絶対みたくないので」と吐き捨てて、家を出たといいます。