月6万円の父親の「老人ホーム費用」…独身長男にすべて押し付けられ
在宅で介護をするなら、まず平均74万円の出費。続けていくのに平均4.8万円。もちろんこれは介護費用だけなので、生活費は別。親自身の年金や貯蓄でまかなうことができればいいのですが、それで賄えない場合はその子どもが負担するのが一般的です。
内藤勝也さん(仮名・54歳)の場合も、親の介護費用を負担するひとり。
さかのぼること5年前。ひとり暮らしをしていた現在81歳の父親とは、1週間に1度くらいのペースで話をしていましたが、ある日、会話がかみ合わないことが多くなったことを訝しく思った勝也さんは、父親とともに病院へ。そこで父親は初期の認知症だと診断されたといいます。
当初、父親は介護サービスを利用しながら何とか自宅での生活を続けていましたが、症状の進行とともに介護費用は増加。ただ自営業だった父の年金は月6万円強で、貯蓄も心許なく……そこで、長男(かつ独身)である勝也さんがたびたび実家に行っては父親の介護を行い、介護費用の増額分を何とかカバー。しかし仕事をしながらの介護は想像以上にツラく、3ヵ月ほどで「無理!」と判断したそうです。
――もう、施設を頼るしかない
父親ときょうだいと相談して、老人ホームへの入居を決めたといいます。問題はその費用だったといいます。
●入居一時金…200万円
●月額費用(定額分)…月18万円
●月額費用(その他)…月4万~5万円
父親はすでに貯蓄がほとんどない状態だったので、子どもたちが肩代わりするしかありません。入居一時金は勝也さんと、2人の妹で折半。月額費用に関して話が及んだとき、妹たちは「私たちはとてもじゃないけど無理、子どもの教育費もバカにならないんだから」独身なんだからお兄ちゃんが負担してよ」と、独身であることを理由に押し付けられたといいます。
父親の年金を差し引き、月17万円ほどの負担。かなり痛すぎます。だからといって、施設を頼らずにはやっていけません。それまで住んでいたマンションを引き払い、父親のいなくなった実家に引っ越して、なんとか父親の老人ホーム費用を負担する生活が1年ほど続いたといいます。
さらなる衝撃は、今年の春の老人ホームからの請求額。この物価高で、食費と光熱費を値上げすることが事前に告知されていましたが、実際に請求額は想像以上でした。
――うっ、嘘だろ…前月から5万円も値上げ!?
思わず、二度見してしまう請求額に、言葉を失ってしまったという勝也さん。住居費を削ってなんとかやりくりしてきたのに……痛すぎます。
――こんな状態がいつまで続くのか……
勝也さん、54歳。定年もリアルに感じられる今日この頃。自身の老後を見据えて、備えていかないといけないと考えていた矢先の出費増に「このままでは老後破産してしまうのではないか」という不安が拡大。親の長生きを素直に望めない状況に、地団太を踏んでいるといいます。
[参照]