敗因は自分の相場観に固執したこと
村下さんの敗因は、自身も認めるように、政策への反感から生まれた「こんな円安が長続きするわけがない」という思い込みでした。客観的な分析よりも、自分の感情や直感を優先させてしまったのです。
為替に関するニュースは意識していたそうですが、自分の考え方を肯定してくれるものを見つけては、安心するというスタンス。これでは、有効なトレード戦略を立てることはできないでしょう。
ちなみに、こういった自分に都合の良い情報ばかりに注目する現象は、「確証バイアス」という人間が持つ心理的傾向のひとつです。感情や直感だけでは、FXトレードで安定した結果を出すのは難しいと考えた方が良いでしょう。
FXでは「チャート分析」と「メンタル管理」が特に重要
ここで、FXの取引経験はあるものの現在は取引をやめてしまった296人を対象に、弊社が行った調査結果を紹介します。FXを継続するために足りなかったものは何か質問したところ、以下のグラフのような結果となりました。
最も多かったのが「チャートを読む・分析するスキル」で31.8%、これに「メンタル管理能力」が30.1%で続くという結果です。
村下さんのケースを振り返ると、不足していたのはまさにこの2つのスキルだったと考えられます。チャート分析ではなく感覚を重視したトレードを行い、客観的な市場分析ができていませんでした。また、自分の誤った相場観に固執し続けてしまったことは、メンタル管理能力の不足を示しています。
この調査結果からは、FXトレードを成功させるためには、技術的なスキルと心理的な強さの両方が重要であることがわかります。チャート分析スキルを磨き、同時にメンタル管理能力を向上させることが、FXトレードを長期的に続けていく上で不可欠といえるでしょう。