米不足が世間を賑わすなか、あちらこちらから「家から米が消えました!」と悲痛の声が聞こえてきます。なかでも、「米さえあれば……」と生活苦に耐えてきた年金世代は大問題。「何を食べて生きていけばいいのか」と、生きるか死ぬかの死活問題に直面しています。
お米がありません!75歳のおひとり様女性、8月15日に「年金15万円」が振り込まれたはずが…残金2,000円の地獄「どう生きていけばいいのか」 (※写真はイメージです/PIXTA)

何を食っていきていけばいいのか…年金世代の悲鳴

――パックご飯であれば、これ。5つ(1つ120グラム)で598円

 

「お米はないの?」の吉村さんに対し、店員はパックご飯を勧めます。「仕方がないわね」とすぐに応えられない吉村さん。

 

「だって、普通であればお茶わん1杯で20円から30円くらいでしょ。そんな贅沢……できないわ」

 

そう諦めて、米売り場を後にします。近くのアパートでひとり暮らしだという吉村さん。最近の苦しい台所事情を聞きました。

 

――この前、年金の振込日だったじゃない

 

吉村さんの場合、月8万円。先日の8月15日には、2ヵ月分の16万円が振り込まれました。吉村さんが年金を受け取った後、用途別に封筒にお金をいれておきます。

 

――家賃が月5万2,000円

――光熱費は月8,000円。でも今はその倍。

――食費は月1万円

 

……こうして分けていき、残った金額はわずか2,000円。まさにギリギリの状況。まったく余裕がなく、不測の事態があったらあっという間に赤字転落です。

 

――あと、2,000円しかないの。何を食べていけばいいのか

 

危機に直面する吉村さんですが、「最近、これ始めたの」と教えてくれました。スキマバイトアプリ。それで自宅近くのアパートの清掃バイトしたり、飲食店の皿洗いをしたり、チラシ配りをしたり……それで月2万~3万円くらいを稼いでいるそうです。

 

――便利よ。すぐに働けるところが見つかるから

 

厚生労働省『令和5年国民生活基礎調査』によると、公的年金を受給する高齢者世帯における、年金の総所得に対する割合は、「100%」が41.7%、「80~100%」が17.9%で、8割超えが6割に迫ります。

 

そのようななか、令和6年度の年金受給額は国民年金(満額)で2.7%の引き上げに。ただ引き上げ率は賃金の伸びよりも0.4%低く抑えられ、実質的には目減りとなっています。

 

暮らしていくためには年金が頼りなのに、実質目減り。結果、高齢者の生活は苦しく、同調査でも「生活が苦しい」と回答したのは59.0%。1年前から10ポイント以上も増加しました。

 

――お米さえあれば、何とか生きていける

 

生活苦の高齢者にとって、お米は私たちが思っている以上に、生きていくのに重要なもの。安定供給はもちろん、価格引き下げが待たれます。

 

[参照]

総務省統計局『小売物価統計調査』

厚生労働省『令和5年国民生活基礎調査』

日本年金機構『令和6年4月分からの年金額等について』