日々報道される企業や公人の「不祥事」。不祥事発覚後は、SNSをはじめとしたネットでの言説が刻々と広がり、挽回が困難なケースが多いようです。このような事態が多く起こりがちなのは、日本の企業社会における「ある慣習」が要因となっている、とフリーランスでキャスターや社外役員などを行う木場弘子氏は言います。木場氏の著書『次につながる対話力~「伝える」のプロがフリーランスで30年間やってきたこと~』(SDP)より、詳しく見ていきましょう。
不祥事発覚後の謝罪会見の遅れが招く「さらなる批判」…想定できても止められない日本企業の〈悪い慣習〉【対話のプロが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

謝罪はスピードとプロセスに尽きる

仕事をしていて困る典型的な例として、先方が約束の期日を守ってくれないことが挙げられるでしょう。こんな経験はどなたにもおありだと思います。原稿や資料など、仕事の上で必要なものが届かないと困ってしまい、私もこういう時に結構、ストレスを感じます。ただ、結果、期日を守られなかったとしても、プロセスによって受け手の感情は随分と違うものです。

 

一番理想的なのは、約束に間に合わないとわかった時点で、その旨をいち早くお知らせし、お詫びしたうえで見通しをしっかりお伝えすること。もし、間に合うかどうか微妙な状況だった場合でも、最低でもその日の夕方5時ぐらいまでには、一報を入れるべきでしょう。そこに、やむを得ない理由もつければ、相手は誠意を感じて理解を示してくれる場合が多いと思われます。

 

よくあるパターンの困ったちゃんは、夕方までに「今日は送れない」という連絡が無いので、「きっと、遅くなるけど入るんだろう」「あまり、催促してはいけない」と、ただひたすら待っていると、夜になってから「今日は送れません」とメールが入る。

 

あら、今日入る前提で明日、その資料をもとに他者と打ち合わせの予定を入れているのに……(ガーン)。こういうこともまま、あります。その場合でも連絡があって謝罪があれば、仕方ないなぁ……と思いますが、最悪なのは期限の日にまったくの音信不通の人。こうなると、この方と信頼関係を保つのは難しいですよね。

 

誰にもやむを得ない事情というのは発生しますから、そのような場合に決して責めるつもりはありませんが、せめて間に合わないことだけは、いち早く伝えるのがコミュニケーションの上で最低限のルールでしょう。