総務省が発表した消費者物価指数によると、インフレ傾向は弱まりつつあるといいますが、物価高にため息が止まらない状況はまだまだ続いています。その影響は、親が老人ホームに入居する子どもたちにも。負担増により、子ども自身の老後にも暗い影が……。
年金15万円・81歳の母だったが、55歳長男が「私の老後は絶望的です」と悲観する「親の老人ホーム請求額」に驚愕 (※写真はイメージです/PIXTA)

「老人ホーム月額費用・2年連続値上げ」で入居者の長男、悲鳴

総務省が26日発表した7月の東京都区部の消費者物価指数(中旬速報値・2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が107.4と、前月比(季節調整値)0.1%の上昇、前年同月比2.2%の上昇でした。特にエネルギー代は全体で前年同月比14.5%増。電気代、ガス代の負担軽減策の縮小の影響が大きく、電気代は19.7%、ガス代は11.6%の上昇となりました。

 

【消費者物価指数2024年7月「主な項目」の前年同月比】

食料:肉類 5.2%、菓子類 4.8%、調理食品 2.4%、生鮮果物 8.0%

住居:家賃 0.5%

光熱・水道:電気代 19.7%、ガス代 11.6%

家具・家事用品:家庭用耐久財 7.9%

交通通信:自動車等関係費 2.8%

教養娯楽:教養娯楽サービス 7.0%、教養娯楽用品 4.0%

 

全体としてインフレ率は前月2.3%から2.2%へ低下、なかでもすべてのの食料とエネルギーを除いたインフレ率は1.4%から1.1%に低下と、日銀が唱える「賃金と物価の好循環」の実現に向けては黄色信号だととらえる専門家が多いよう。ただ私たちにとって、統計以上に物価高を実感する日々が続き、厳しい家計運営が求められることに変わりありません。

 

至る所で物価高の影響を感じますが、それは介護の現場でも。

 

――もう、どうしたらいいのか、分かりません

 

悲観するコメントをした55歳男性。81歳の母親が入居する老人ホームの月額費用が2年連続で値上がりをし、その影響は長男である男性にまで及んでいるといいます。

 

老人ホームの入居に際し考えるべき費用は、まず入居一時金。これは入居時に一定期間の家賃を前払いする費用。家賃の支払いに対し入居一時金方式のほか、月払い方式を用意するホームも。前者は入居時にまとまったお金が必要になるのがネック。そこで入居ハードルを下げるために、月払い方式も採用するホームもありますが、その分、月額費用は高くなる傾向にあります。

 

入居一時金はホームごとの初期償却分と償却期間が決められています。たとえば一時金1,000万円、初期償却分200万円、償却期間5年だとすると、入居時に200万円が償却となり、残り800万円を5年かけて償却していくことになります。仮に入居後、クーリングオフ後に退去となった場合、戻ってくる一時金は800万円ということになります。