歳を重ねていくについれて高まる介護リスク。自宅での生活に不安を覚えたときのひとつの選択肢が老人ホームです。いつもスタッフがいてくれて、安心、安全……しかし、そうもいっていられない事態に陥っているケースも増えているといいます。
痛い!やめて!「老人ホーム入居の83歳母」の悲鳴…駆けつけた50歳娘が目撃した衝撃の光景【増加する高齢者虐待の実態】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「痛い、痛い」「やめて」…老人ホームに入居する母からの電話で覚えた異変

――どこのホームでもそうなのでしょうか

 

不安を吐露した50歳女性。先日、83歳の母が入居する老人ホームでの出来事を振り返ります。きっかけは、母からの電話でした。

 

――痛い、痛い! やめて!

 

母は認知症が進行し、頻繁に電話をかけてきたり、電話したこと自体を忘れてしまったり。以前は、「誰かが私の財布を盗んだ」と騒ぎ立てたことも。結局、この時は記憶違いだったことが分かり、ひと段落したといいますが、以降も電話の内容が妄想ということが多くなっていたといいます。

 

このときも、しばらく話していると落ち着いたので、「いつものように妄想なのかな」と思ったとか。ただいつも以上に緊迫した様子もあったので、週末にホームに行ってみることにしたといいます。

 

そこで女性は衝撃的な光景を目撃します。

 

――なんで、こんなところで漏らすんだよ!

――ふざけんなよ!

 

入居者を怒鳴るスタッフの声。

 

――やだ、やめて!

――痛い、痛い!

 

許しを請う入居者の悲鳴。ビックリした女性が駆けつけると、間に合わなかったのか、トイレの前で粗相をしてしまった入居者の女性と、介助するスタッフがいました。女性は母と同じく認知症でしょうか、女性が駆けつけたときには悲鳴はピタリと止み、明後日の方向をみていました。

 

――すみません、お騒がせしました

 

女性に謝るスタッフ。女性は会釈をしてその場を去りましたが、以前来たときと比べて、どうもホームの様子がおかしいことに気付きます。

 

――なんでこんなに人が少ないんだろう……

 

首を傾げると、また違う所から怒号と悲鳴が聞こえてきて……。女性は「入居者への虐待があるのでは?」と思い、母にも聞いてみましたが要領を得ません。確信をもつことはできませんでしたが、女性は自分の直感を信じ、一旦、母を自宅に連れて帰ってきたといいます。