ひとり残った兄「オレはこれからどうしたらいいんだ!」
「父が脳梗塞を発症して要介護状態になり、看病にかかりきりになっていた母のほうが先に亡くなりました」
その後、父親は二度目の発作を起こして他界。鈴木さんの兄だけがひとり残った。
「〈オレはこれからどうしたらいいんだ!〉って、そんなこと知りませんよ…。〈生活保護でもなんでも受けたら?〉と返したのですが…」
しかし、生活保護を受けようにも兄は健康体だ。就労を促され、申請は認められない可能性が高い。なにより、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護を優先するため、妹である鈴木さんの援助を要請される可能性が高いといえる。
【扶養義務者】
民法第877条
①直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
②家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
③前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
「アパートの契約が切れたら、お前のところに行く」
兄のこの言葉に、鈴木さんは戦慄した。
「私がどれだけ頑張って、いまの生活を手に入れたと思っているのでしょうか。絶対にそんなことはさせません」
両親亡きあと、資産を持たない「無職のきょうだい」の存在は、ほかのきょうだいの生活を脅かしかねない。自分の生活を守りつつ、行政に相談するなど、何かしらの対応策が不可欠だといえる。
[参照]
総務省統計局『令和2年度国勢調査』
e-GOV『法令検索』
厚生労働省『生活保護制度』
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