認知症でも入所可能な「老人ホーム」
認知症でも入れる老人ホームとしては、大きく4つ。まずは担当ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談をします。認知症の症状がそれほど進んでいない段階であれば、本人と共に見学をして決めたいところ。
●グループホーム(認知症対応型生活介護)
認知症の症状をもつ9人を1グループにした少人数制の施設。認知症の症状が重い場合は断られる場合もある
●特別養護老人ホーム(特養)
公的な介護施設で、原則要介護度3以上の人を対象。ただし認知症の場合は要介護度2以下でも要件を満たせば入居可能な場合あり
●有料老人ホーム
民間企業による運営で施設によって認知症の受け入れ態勢は異なる
●サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
民間企業が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅。認知症の受け入れ態勢は施設によって異なる
認知症の父親が毎晩「助けて!」と連呼していたワケ
女性の場合、近所に認知症患者を受け入れている有料老人ホームに空きがあり、スムーズに親を老人ホームに入所させることができたとか。最後まで自宅で介護をするつもりだった女性にとっては少々不本意な結果ではありましたが、1年近くぶりに職場に復帰。休職扱いにしてくれた会社に感謝しかないといいます。
しかし、認知症の症状が進んでいる父親。きっと、色々と迷惑をかけてしまっているだろう……少々、気が引ける思いだったといいます。ところが、入所後、しばらく経った後「毎日、穏やかに過ごされていますよ」と、予想だにしていなかった言葉がスタッフから返ってきたといいます。
――毎晩、「助けて!」って叫びませんか?
――最初は言っていましたけど、いまは言わなくなりましたね
「日ごろから、呼ばれていなくても様子を見に行ったり声掛けをしたりしています。そうしているうちに、何かあったら来てくれる人がいると、安心したのかもしれませんね」とスタッフ。
――そうか、呼ばれたから行くではダメだったか……
さすがはプロ。どちらにせよ、父親を老人ホームに預けてよかったと、大変だった介護生活を振り返ります。
介護の問題として、要介護者も介護者も、社会から孤立するケースがあります。当初、介護と仕事の両立を目指すも断念。離職してしまった結果、社会との接点を失くしてしまう……結果、最悪の事件が起きてしまうことも。毎年、介護離職者は8万~9万人ほどいるといわれています。
孤立化を招く介護離職をいかに減らすか……社会の命題です。
[参照]