高齢者の12%が認知症…2060年には18%に
「もう限界」と綴った、49歳女性。同居する認知症の父親を介護するようになり5年。ここ1年ほどで症状が進み、目を離せなくなったといいます。また、このような状況ではとても仕事を続けられないと、会社に退職を申し出ましたが、一旦、休職扱いとなり、介護に専念できるようになりました。
79歳になった父親はまだ足腰は元気で、目を少しでも離すと外に出てしまい徘徊。近所の人に保護されて戻ってくる、ということを繰り返すようになりました。また真夜中には大声で「助けて!」と連呼。そのたびに起こされ、様子を見に行くと何事もなく、そのまま眠ってしまう。そして女性が戻ってしばらくすると、また「助けて!」と連呼する。最後まで自宅で介護したいと思っていましたが、このままでは、何か事故が起きてしまうか、または自分が先に倒れてしまう……何かあってはマズいと思い、ケアマネジャーに相談のうえ、老人ホームへの入所を決めたといいます。
高齢化・長寿化が進むなか、増加傾向にある認知症患者。
厚生労働省の資料によると、2022年、認知症高齢者は443.2万人。これは高齢者の12.3%にあたります。その後の推計としては、2030年に認知症高齢者は523.1万人、高齢者の14.2%。2040年には584.2万人、14.9%。2050年には586.6万人、15.1%。2060年には645.1万人、17.7%に達するとされています。
一方、介護者の状況はどうでしょうか。妻からみた親の介護状況について調査した、国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』の結果からみていきましょう。
年齢別に介護が必要な親がいる妻の割合をみていくと、20代では6.7%、30代で11.5%、40代で25.6%と上昇していき、50代では42.5%と、5人に2人以上の水準になります。ちなみにその後、60代では33.4%、70代では5.0%でした。さらに現在介護している割合は、20代で3.9%、30代で3.2%、40代で4.9%ですが、50代で13.9%と一気に跳ね上がり、60代では15.3%に。70代では8.5%に減少します。
結構な数の人が「親の介護」に携わっていることが分かりますが、さらに前出の通り、その介護をする親の8人に1人が認知症という状況です。