サラリーマンのなかでも会社の業績を支え、最前線で奮闘する営業。ただ営業職の人に「働くことうえでのデメリット」を聞くと、「ストレス」という回答が最も多く、ツラい仕事であることは明らか。一方で、営業の仕事に喜びを感じ、余裕の笑みまで浮かべる人もいます。そこにどのような違いがあるのでしょうか。
平均年収555万円だが…「仕事で幸せを感じる営業マン」と「感じない営業マン」の決定的な差 (※写真はイメージです/PIXTA)

2)顧客接点プロセスの分業体制は有効に機能しているか

営業の実態を明らかにする3つの視点の2つ目。組織の体制と課題感についてみていきます。

 

まず営業に組織への課題を尋ねたところ、最多は「営業活動における組織間連携ができていない」で29.3%。「事例の共有、営業ツール化ができていない」24.1%、「前工程や後工程に時間が割かれ、フィールドセールスに集中できない」22.1%と続きます。

 

これらの課題に対して、「マーケティング」「インサイドセールス」「カスタマーサクセス」の機能を「フィールドセールス」以外の部署や担当者が担う分業体制が取られている「完全分業」、その一部を分業している「一部分業」、すべて営業が行う「非分業」でみていくと、分業が進んでいないほうが課題感を抱きやすい傾向にあることが鮮明になっています。ただ、これは分業によって個々の視野が狭くなり、課題を抱かない傾向にある可能性も。どちらにせよ、組織が分業体制が取られているかどうかは、営業にとって重要のようです。

 

3)営業のパフォーマンスを高め、かつ、働く幸せを実感するにはどうしたらよいか

営業の実態を明らかにする3つの視点の3つ目。仕事に対する幸福感についてみていきます。

 

マーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセス、フィールドセールスと、4つの営業職別に「働く幸せ実感=働くことで得られる幸福度」についてポイント化したところ、「マーケティング」が最も幸福度が高く、4.28ポイント。「インサイドセールス」4.20ポイント、「フィールドセールス」4.21ポイント、「カスタマーサクセス」4.04ポイントと続きました。

 

また分業の度合い別にみていくと、フィールドセールス以外は、分業が進んでいないほうが幸福度が高いのに対し、フィールドセールスにおいては分業が進んでいないほど幸福度が低くなる傾向にありました。また幸福度への影響が高い職場要因としては、 「仕事とプライベートとのバランスが取れている」「優れたリーダーシップのもと働けている」「成果を上げたときに周囲から賞賛を受けている」の3つが挙げられます。

 

ストレスに直面する機会の多い営業ですが、それでも「この仕事、やりがいがあるんだよね」と生き生きしている営業と、そうでない営業がいます。その差は、「プライベートと両立」「リーダーの存在」「賞賛」の3拍子が揃っていること、さらに分業が進んでいるとなおよし、といったところのようです。

 

[参照]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

日本労働調査組合『営業職の勤務意識に関するアンケート』

株式会社パーソル総合研究所『10,000人の営業実態調査 2024』