80代の親が50代の子の生活を支えるために負担を背負う8050問題。 そうした歳を重ねても親に養われる子どもらは、親がこの世を去るとどうなるでしょうか。本記事では山内さん(仮名)の事例とともに、大人の引きこもりについて、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が解説します。
【8050問題】東京在住の裕福な「51歳・子供部屋おじさん」、地獄の老後までのカウントダウン…「82歳・年金18万円の父」に余命宣告。息子に事実を明かすとき (※写真はイメージです/PIXTA)

息子を経済的に支える父へ余命宣告

今回の隆さんの相談では、山内家の深刻な現状が浮き彫りになりました。

 

「実は、先日余命宣告をされたんです」

 

体調を崩しがちで、貧血のような症状が度々表れたため、病院で診てもらうと、末期の胃がんと診断されました。

 

「息子に小遣いを渡すだけではなく、食事代や年金、保険料の負担もあるため、すでにお金のことで悩んでいました。私が死んだら息子は困り果てるでしょう。まだこのことは息子に伝えられていません」

 

しかし、金銭的な問題解決を行う前に、正行さんのひきこもりを脱出する方法を考えなくてはいけないでしょう。筆者は「ひきこもり地域支援センター」へ相談に行くことを勧めました。

 

相談を受けたセンターでは、「ひきこもり支援ステーション」「ひきこもりサポート事業」と相談だけではなく、アフターフォローや社会復帰できるように、ネットワークの構築などもサポートしています。ひきこもりとなってしまっている本人が自ら相談に行くことが難しい状況が多いなかで、親がこういったサービスを知る機会を得ることが大切ですが、インターネットなどを使う習慣の少ない高齢者では、調べることすら大変になることもありますので、周りからのサポートが必要なのかもしれません。

 

正行さんが親亡きあとも1人で生きていけるよう、親として隆さんが最期に手助けしてあげられることを願います。

 

 

 

吉野 裕一

FP事務所MoneySmith

代表