息子を経済的に支える父へ余命宣告
今回の隆さんの相談では、山内家の深刻な現状が浮き彫りになりました。
「実は、先日余命宣告をされたんです」
体調を崩しがちで、貧血のような症状が度々表れたため、病院で診てもらうと、末期の胃がんと診断されました。
「息子に小遣いを渡すだけではなく、食事代や年金、保険料の負担もあるため、すでにお金のことで悩んでいました。私が死んだら息子は困り果てるでしょう。まだこのことは息子に伝えられていません」
しかし、金銭的な問題解決を行う前に、正行さんのひきこもりを脱出する方法を考えなくてはいけないでしょう。筆者は「ひきこもり地域支援センター」へ相談に行くことを勧めました。
相談を受けたセンターでは、「ひきこもり支援ステーション」「ひきこもりサポート事業」と相談だけではなく、アフターフォローや社会復帰できるように、ネットワークの構築などもサポートしています。ひきこもりとなってしまっている本人が自ら相談に行くことが難しい状況が多いなかで、親がこういったサービスを知る機会を得ることが大切ですが、インターネットなどを使う習慣の少ない高齢者では、調べることすら大変になることもありますので、周りからのサポートが必要なのかもしれません。
正行さんが親亡きあとも1人で生きていけるよう、親として隆さんが最期に手助けしてあげられることを願います。
<参考>
厚生労働省:令和3年度「引きこもり支援施策の現状について」
https://www.khj-h.com/wp/wp-content/uploads/2021/04/03XX%E5%8E%9A%E5%8A%B4%E7%9C%81KHJ%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0.pdf
政府統計:生活状況に関する調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00100114&tstat=000001136332&cycle=0&tclass1=000001136335&tclass2val=0
吉野 裕一
FP事務所MoneySmith
代表