8050問題は深刻化、9060問題へ
令和3年3月に出されている「ひきこもり支援施策の現状について」を見ると、平成30年度の調査で40歳~64歳までの推計数が61万3,000人となっています。60歳以上では、定年退職などをして、外出の頻度が減ったということもあり得ると思いますが、40代や50代でも「ひきこもり」となるケースもあるようです。
2018年に調査された生活状況に関する調査では、40歳~64歳までの調査対象の14.2%がひきこもりの状態にあり、そのなかで、40歳代は38.3%、50歳代では36.2%と中高齢になっても、ひきこもり状態にある人が見受けられます。要因としては、「求職活動がうまくいかなかったこと」や「職場になじめなかったこと」、「人間関係がうまくいかなかったこと」などがあるようです。
さらに、ひきこもりの期間も3~5年の13.1%が最も多くなっていますが、30年以上もひきこもりの状態が続いているというケースもあるようです。俗にいう8050問題は、最近では9060問題と年齢が上がっても問題が続いていることが社会問題となっているようです。
頼れる場所を見つけることの大切さ
ひきこもりの問題については、以前からあったようですが、この問題が長期化し、さらに高齢化していることを政府も問題にしています。2018年に初めて40歳以上の実態調査を行いました。
ひきこもりについての支援事業も拡大中で、「ひきこもり地域支援センター」を平成30年4月までに都道府県と指定都市(67自治体)に設置をして、困ったことがあれば、すぐに相談できるようにしてきました。さらに身近に相談できるように、設置主体を市町村へと拡大中となっています。
いまはよくても順当にいけば親が先に亡くなる
親が存命中は確かになんとかなるかもしれません。しかし、順当にいくとやはり養ってくれている親が先に亡くなる可能性のほうが高いでしょう。
正行さんの場合、すでに母親は亡くなっています。父親である隆さんが亡くなれば頼る人がいなくなるのです。遺産は残せたとしても、自室の扉から社会から緩い断絶を行っている正行さんに相続手続きや、今後のお金の管理、家事などが1人でできるでしょうか。