資金使途が自由なフリーローンの金利は高め
借金に否定的なイメージがあるのは、返済時の利息分が家計に負担を与えることや、返済不能に陥った場合のリスクによるのかもしれません。ローンも計画的に活用すれば、生活を豊かにし、資産形成や自己投資のための有効な手段となりますが、その資金使途によって金利が異なるというのが現状です。
住宅ローンは、有担保なため各金融機関が取り扱うローンのなかでも最も低い金利で利用できる商品です。実際に住宅は高額だから、長期間の借入れとなるため慎重に計画して利用したいと事前にFPにローンの相談する方も多いです。
このなかには、低金利を活かして無理のない範囲で借りて、自己資金をなるべく残して投資で資産運用したいという方も少なくありません。住宅金融支援機構の調査でも、ローンの金利が0.5%以下の人が最も多く、融資率が「90%超100%以下」とのことで、諸費用を除いた物件(土地・建物)にかかる費用をローンで賄う人が多いという結果です。
そのほかの個人向けローンはどうでしょうか。無担保なので住宅ローンに比べると金利が高いです。なかでも資金使途を定めない「フリーローン」は他の自動車購入・教育費目的のためのローン金利より高く設定されています(融資実行までの期間が迅速で手続きが簡易なほど金利が高い傾向もあります。主な金融機関で最安値の金利を比較すると、フリーローンは借入れ金利に幅があり審査結果によって決まるので、契約者(年収や勤務先など)次第で差があります)。
「お金を借りること」より、その使途のために借金することが好ましいかどうかイメージがわかれているのではないでしょうか(各金融機関は、「フリーローン」の使途が自由であっても、事業性資金・投資性資金にすることを禁止していたり、違法な行為のための資金ではないことを確認しています※3)。
年収に迫るフリーローン200万円を借入れした20代会社員
三井住友トラスト・資産のミライ研究所の調査で「通常の生活に必要のないものを得るための借金は悪い借入れだ」と回答した人が全体の約20%いました。通常の生活に必要でないものの例に、余暇や遊行費があります。
今回は、フリーローンでお金を借りて、旅行代などに使ったJさんの話を紹介します。
Jさん:28歳(会社員、年収700万円)
・金融資産:現預金25万円(別途、勤務先の確定拠出年金でマッチング拠出)
・負債:フリーローン当初200万円を年10%で借入れ(返済期間残8年)
当初150万円を年5%(返済期間残8年半)
当初150万円を年4.5%(返済期間残9年)
Jさんは、入社した年とその翌年の短期間でその当時の年収に近いくらいのお金を借りて、国内外の旅行などの遊行費にお金を使ったそうです。
進学によって同級生より少し遅く就職したJさんは、ちょうど「DIE WITH ZERO人生が豊かになりすぎる究極のルール」(ビル・パーキンス著)という本を読んで、早いうちに質の高い経験をしたいと考えたそうです(本の中で、著者が20代の頃のルームメイトが、多額の借金をして数ヵ月間の旅行にいったエピソードがあり、これに感銘を受けたとのこと)。
Jさんもまた、この本の著者のルームメイトと同様に、いましかできない経験を重視し「就職した年は貯金なんてなくて、10%の金利は高いと思いましたが学生と違ってお金を借りられるのでフリーローンを利用しました。それに、昨今のインフレでは、お金の実質的な価値も下がるのだから借金をしたほうが得ですし」と話していました。
また、勤務先の業績が好調で、賞与が増えたこともあり、翌年もフリーローンを利用して見聞を広げるため休日は国内外への旅などに出かけたそうです。また、ボーナスなどで金利が高い方のローンは繰上げ返済していく予定とのことですが、ローンは滞りなく毎月返済しているそうです。(個人のプライバシーに配慮し旅行先やその費用は伏せますが、「南米ペルー世界遺産を巡るツアーで8~9日間約150万円」など、海外旅行では行き先・時期によってはオプション・滞在費を含むと、1人100~200万円かかります)。