良い借金と悪い借金はあるのか
Jさんの借入れは「絶対に必要なもの」ではなく、将来にどのような利益を生むかは未知数です。住宅ローンのように低金利で借りて、自己資金は借入れ利率以上の利回りで資産運用するといった直接的に経済的リターンを生むかどうかの保証はありません。しかし、生活を豊かにしたり将来への自己投資につながる可能性はあります。
「自分に役立つスキルを身につけるためのローンは良い借入れだ」と考える割合が50歳以降少し増えたのは、旅行によって広い視野と多様な価値観を育て、キャリアの発展につながった、遊びを通して人々との出会いが後に有益な関係を築けたという経験者の回答が含まれているかもしれません。
「ギャンブルや単なる浪費のための借入れ」は、多くの人が良くない借入れと認識していますが、住宅ローンや教育ローンのような資産形成や将来的にリターンを生む可能性が高い、いわゆる「良い借金」であっても、きちんと返済ができない場合は「悪い借金」になってしまいます。
どんな場合でも、借金をする際は目的と返済計画を明確にし、返済可能な範囲で利用することが大切です。どんな目的のためにお金を使うか、あるいはお金を借りるかは個人のライフイベントや価値観によって異なります。
この記事が、いまのお金の使い方を振り返ったり、資産について家族など身近な方と話したりといったことのきっかけになれば幸いです。
<参考>
※1 三井住友信託銀行 三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住宅ローン「頭金ゼロ」の選択肢は正解か?」
https://mirai.smtb.jp/wp/wp-content/themes/mirai/pdf/miraiken_report_230810.pdf
※2 総務省統計局「家計調査」
※3 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2024年4月調査)】」
伊藤 江里子
FP事務所 夢咲き案内人オカエリ 代表