住まいの経年劣化は避けられず、住み続けるには修繕は欠かせません。しかし高齢者になると「直すのではなく住み替える」という選択肢も。その場合、ひとつの候補となるのが「老人ホーム」です。老人ホームを選ぶ際には、齟齬が生じないように見学をしっかりしておきたいところ。ただ見学をしておけば安心かといえば、そういうわけではないようです。見学でも見抜けなかったポイントとは?
〈年金40万円・退職金5,000万円〉共に元国家公務員の70代夫婦…「高級老人ホーム入居」で余裕の老後のはずが「悔しくて…」と涙したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

しっかりと見学しても見抜けなかった…老人ホーム選びの失敗

しっかりとした検討のうえ入居を決めた70代夫婦。高級老人ホームでさぞ、優雅な毎日を過ごしている、かと思えば、実は別のホームに転居したといいます。

 

――想像していた生活と違うことが色々とあって。この先もずっと続くかと思ったら、悔しさがこみ上げ震えながら泣きました

 

と妻。入念な見学のうえ決めたにも関わらず、何が想像と違っていたのか……

 

まず思い違いだったのが食事。試食会での料理は特別食で、入居後、普段の食事とはまったく異なるというケースがあります。「試食会での食事は美味しく、好みだったのに……」ということも。高級老人ホームの食事は一般的な老人ホームよりも食事に力を入れていることが多いものの、「高齢者に配慮した食事」という前提があり、どの施設も健康に配慮したもの。自立の人にとっては物足りないと感じるケースもあるようです。

 

また「過度なサービス」もストレスだったといいます。高級老人ホームは、至れり尽くせりのサービスが自慢のひとつですが、特に自立の人にとっては、過剰に感じてしまうこともあるようです。特に要介護者が中心のホームだと、スタッフの声掛けは頻繁に行われます。ある程度、プライベートの時間を優先したいという人にとっては煩わしく感じてしまうこともあるかもしれません。

 

老人ホーム選びも、通常の住まい探しと同じ。見学で見抜けないこともあり、退居や転居ということも珍しいことではありません。それでも夫婦のケースであれば、食事は通常時の食事を試食する、見学の際にスタッフの距離感を観察するなどすれば、防げたことだったかもしれません。

 

その後夫婦は、手厚いサービスは魅力的であるものの、スタッフとは適切な距離がほしいと考え、住宅型の有料老人ホームに転居。食事サービスもあるものの、居室はキッチン付なので自炊も可能。介護・医療施設も隣接しているので安心。前のホームよりランクは下がったものの、「ここであれば一生涯いられると考えている」と話しています。

 

[参照]

アットホーム株式会社『一戸建て修繕の実態調査2023』

内閣府『令和6年版高齢社会白書』