長年にわたり、終身雇用制度を採用してきた日本。しかし、近年ではジョブ型雇用や成果主義を採用する企業も増えています。「長く勤めていたかどうか」が重要視される時代はもう終わり。これからは、「個人でいかに高い業績や成果を上げられるか」が高収入へのカギとなってくるのです。今回は東京エグゼクティブ・サーチの代表取締役社長・福留拓人氏が、社内評価制度の変革や成熟国家日本が歩む道について解説します。
仕事ができる人は稼ぎ、できない人は肩を叩かれる…生き残りを賭けた「サバイバル時代」に突入した日本企業で会社員が持つべき「心得」とは【人材のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

昔は年を重ねれば自動的に高いポストと賃金が保証されていた

今や「終身雇用」、「年功序列」、「豊富な退職金積み立て」という、雇用における通称「三種の神器」が死語になって久しくなりました。今回は、この中から特に年功序列にスポットを当てて考えてみたいと思います。

 

もともと日本には、大企業を中心に独特な終身雇用の考え方がありました。若いときに低賃金で苦労して、それでも一生懸命働いて会社に丁稚奉公するというものです。その後、年を重ねてキャリアの後半になり、高い生産性やパフォーマンスを発揮できなくなったとしても、若いころの奉公に会社が報いるかたちで、厳しい信賞必罰を行わず、一定のポストと高い賃金を保証してくれました。

 

このような仕組みが年功序列制度の基本となってきたわけです。これは言うに及ばず、短期で人が辞めないことを前提として設計された制度です。長く勤めれば給料は上がってきますし、在職期間が長ければ長いほど定年時の退職金がたくさん受け取れます。

 

長く勤めないとポストが上がりませんから、企業も日本経済もある程度自然に成長していくことが前提になっています。要は、対前年比で会社が確実に成長していくことで、いろいろなコストを吸収していくわけです。そうすればポストが豊富に生まれ、団塊の世代のように人手が多いときでも、吸収できる余力ができます。

 

こういうことが歴史的背景にありました。このときには、会社を辞めれば不利になるわけです。早いうちに辞めてしまえば、それだけ不利になってしまいます。次にどこかの会社に入ったとしても外様扱いされ、長く働いてきた恩恵に預かれないという、そういう現実が人材の流動性を阻害してきました。

 

歴史を振り返るような話になりましたが、現在はこういう仕組みが完全に崩壊して久しくなってきているわけです。非常に混沌としているため、人によっては大変なカオスと感じる場合もあるでしょうし、あるいは非常にチャンスがあると感じる方もおられると思います。

 

実力主義が広がる一方で、年功序列からの大幅な転換に抵抗も

最近は一部のクリエイティブ(エンジニア、デザイナー、IT技術者など)の方のなかに、新卒の初任給が年俸換算700万円から1,200万円というような会社もめずらしくなくなってきました。

 

年齢やポストに関係なく、活躍に応じた評価を適切にしようとすると、過去にベースとなってきた評価制度というのは無用の長物になってしまいます。というより、むしろ阻害要因になってしまいます。

 

しかし、度合いはともかくとして、長幼の序をわきまえる、いわゆる「年功序列」的な考え方を急激に180度転換するということは、年配の方だけでなく若い方にも一定の抵抗があるようです。

 

そのため制度設計を現代風にアレンジすることに、どの会社も多大な苦労をしているようです。やはり長年染みついたものを根底から変えるというのは大変なパワーを擁することで、それはどのような事象でも同じことなのでしょう。