連日、盛り上がっていた都知事選が終わったと思ったら、いま話題になっているのは、とある落選者のパワハラ報道。「あんな上司だったら大変だろうな……」と思った人も多いのでは。一方で「いまどきパワハラなんて昭和かよ」と、ツッコミを入れる人たちも。ただ調べてみると“昭和な上司”はまだまだ多いようです。みていきましょう。
パワハラ上司「ほんと、役に立たねぇな」と恫喝…被害者〈月収50万円〉代理店勤務の42歳サラリーマン、ある朝の通勤で感じた異変 (※写真はイメージです/PIXTA)

いまも会社に残る昭和体質…6割が「過去3年間にパワハラがあった」

ハラスメント、ハラスメントと言われるなか、「この時代にパワハラなんて……」という感覚の人もいるかもしれません。しかし

 

厚生労働省「 職場のハラスメントに関する実態調査」における企業への調査によると、「過去3年間にハラスメントの相談があった」と回答した企業の割合は、「パワハラがあった」は64.2%、「セクハラがあった」は39.5%、「カスハラがあった」は27.9%、「マタハラ等があった」は10.2%でした。ハラスメントのうち、最も多いのが「パワハラ」なのです。

 

パワハラについてみていくと、「相談件数が増加している」は19.6%、「件数は変わらない」は30.2%、「減少している」は21.8%。「増加」の割合は、「カスハラ」23.2%に続いて多くなっています。

 

また同実態調査で個人調査の結果をみていくと、「過去3年間に勤務先でパワハラを受けた」と回答したのは19.3%と、5人に1人の水準。「カスハラ」10.8%、「セクハラ」6.3%とほかのハラスメントと比べても突出して多くなっています。

 

業種別では「建設業」が最も多く26.8%。「複合サービス業」22.5%、「教育、学習支援業」20.6%、「医療、福祉」20.6%と続きます。受けたパワハラの内容としては「脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)」が最多で48.5%。「業務上明らかに不要なこと、遂行不可能なことの強制、仕事の 妨害(過大な要求)」が38.8%でした。

 

実際にパワハラを受けた際には、どのように対応しているのでしょうか。最多は「何もしなかった」で36.9%。「家族や社会の友人に相談した」19.3%、「社内の同僚に相談した」は18.3%、「社内の上司に相談した」17.9%と続きます。どこかしらに相談するケースが多い一方で、相談できなかった人は3人に1人以上となっています。

 

またパワハラを受けていることを知った後の会社の対応としては、「何もしなかった」が53.2%と過半数超。「被害者の要望を聞いたり、問題解決のために相談にのってくれた」24.4%と、「事実確認のためのヒアリングを行った」18.0%と続きました。ただ「相談したことを理由としてあなたに不利益な取扱い(解雇・ 降格・減給・不利益な配置転換など)をした」が6.1% と、非常に少ないながらもあるという事実を知ると、被害を受けても諦めてしまいそうになります。

 

――パワハラを受けたと訴えたのに、何もしてくれない……

 

その場合、総合労働相談コーナーや弁護士など、外部の相談窓口に相談することが考えられます。パワハラの内容によっては損害賠償を求めることも考えられます。会社に相談しても無駄なのであれば、外に助けを求めるのも手。泣き寝入りをする必要はありません。

 

後日談。

 

周囲からの告発により、男性にパワハラをしていた部長は降格&左遷。男性がいた部署からはいなくなったとか。男性は職場復帰に向け、体調を整えているといいます。

 

[参照]

厚生労働省『令和4年 労働安全衛生調査(実態調査)』

厚生労働省「 職場のハラスメントに関する実態調査」

法テラス『職場で、パワハラ(パワーハラスメント)を受けています。どうすればよいですか。』