5年に1度行われる“公的年金の健康診断”である「財政検証」。その最新の結果が公表となりました。そこで明らかになったのは、明るいとはいえない日本の未来。みていきましょう。
月収30万円、32歳サラリーマン…最新の政府試算で判明した、65歳でもらえる「衝撃の年金額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

2024年に32歳のサラリーマン、33年後、65歳で手にする衝撃の年金額

2057年に65歳を迎え、年金をもらいだすのは、1992年生まれ、2024年に32歳の人たち。平均的なサラリーマン(正社員)であれば、月収30.7万円、賞与も含めた年収は516.7万円(厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』より)。

 

あくまでも2024年の統計を用いた単純計算ですが、20歳から60歳まで平均的な給与をもらい続けると仮定すると、65歳からもらえる老齢厚生年金は12.36万円。併給の老齢基礎年金も合わせると17.10万円となります。

 

現在、年金の手取り額は額面の85~90%なので、手取りは14.53万~15.39万円ほどになる計算。ただ現状の経済状態が続くと仮定すれば、年金の価値は2割減の11.62万~12.31万円になるということになります。月12万円程度の年金……ライフスタイルは人それぞれなので一概にいえませんが、これで十分というには心許ない金額です。

 

また、今回の「財政検証」では合計特殊出生率を2070年時点1.36%と想定しています。一方で6月5日に厚生労働省が公表した2023年の出生者数は、72.7万人と過去最低水準を更新。合計特殊出生率は1.20と、前年1.26からさらに低下しました。今後の状況によっては、今回のシミュレーションをさらに下回る年金水準になるかもしれません。

 

月収31万円・32歳のサラリーマン。33年後にもらえる年金は、2割減が既定路線。さらにそれよりも下回る可能性もゼロではありません。

 

最新の政府の試算で判明した、65歳でもらえる「衝撃の年金額」。厳しい状況が見込まれますが、この事実に悲観したとしてもあと33年の猶予があります。いまから少しずつでも資産形成を進めていくことが重要です。

 

[参照]

厚生労働省『将来の公的年金の財政見通し(財政検証)』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』