5年に1度行われる『マンション総合調査』。管理組合や入居者(区分所有者)の現況が分かる調査ですが、そこから見えてきたのは、「引っ越したくても引っ越せない」と取り残された高齢者の姿でした。みていきましょう。
押し潰されて死ぬなんてイヤだ「年金13万円」77歳のおひとり様女性、「耐震不安のマンション」を出ていけず、怯えて生きる絶望の老後 (※写真はイメージです/PIXTA)

マンションで進む高齢化…4人に1人は70歳以上

国土交通省『令和5年度マンション総合調査』によると、マンション居住者の年齢は、60代が28%、70歳以上が26%。一方、2023年の人口推計によると、同年10月1日時点、60代人口は1,484万人、70歳以上人口は2,889万人。総人口に占める割合は、60代が12%、70歳以上が23%です。マンション居住者の高齢化が、経年でみても2023年単体でも、見てとることができます。

 

【マンション居住者の年齢分布】

●2003年

~20代:1.2%、30~50代:67.0%、60代:21.5%、70代以上:10.2%

●2008年

~20代:0.8%、30~50代:58.9%、60代:26.4%、70代以上:13.0%

●2013年

~20代:0.2%、30~50代:49.3%、60代:27.0%、70代以上:18.9%

●2018年

~20代:0.5%、30~50代:49.8%、60代:27.0%、70代以上:22.2%

●2023年

~20代:0.3%、30~50代:45.3%、60代:27.8%、70代以上:25.9%

 

また築年数が古いマンションほど70歳以上の居住者割合は高くなり、1984年以前のマンションでは70代以上が55.9%と半数以上を占めています。

 

マンション居住者の高齢化は、永住志向が高いこともひとつの要因。調査で「永住するつもり」と回答したのは60.4%。対し、「いずれは住み替えるつもり」17.7%を大きく上回りました。ただ永住志向は年齢が高い人ほど高く、30代では38.8%、40代で45.3%と4割前後だったのが、60代では65.9%、70代で75.2%に達します。

 

一生に一度、最も高い買い物といわれるマイホーム。さらに長年暮らしてきた愛着もあるでしょう。

 

――できることなら、死ぬまでここにいたい

――愛着あるこの家で最期を迎えたい

 

そう考えるようになるのも当然のこと。ただすべての人がそういうわけではなく、「引っ越したくても引っ越せない」という人も多いようです。