日本全体の少子高齢化の波は、労働力人口や、正社員・正規職員人口の年代別バランスも変化させている。企業では若手を自由に採用・配置できなくなっているが、若手の採用難よりも重要なのは、若年労働力人口自体の減少。現在の10歳代の人口の薄さを考えれば、この問題は今後、より深刻化するだろう。このような状況で、企業が持続可能性を高めていくためには、ボリュームゾーンのミドルシニアを十分、活用するための投資が必要ではないだろうか。ニッセイ基礎研究所の坊美生子氏が解説する。
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2―働く人に関する人口ピラミッドの過去30年の変化
2-1│人口ピラミッド
まず国内人口について、総務省の「国勢調査」の結果を基準に、その後の人口動向を反映させた「人口推計」から、過去30年間の変化をみたものが【図表2】である。総人口はほぼ変わりないが、年代分布が変化したことが分かる。1992年には、「団塊世代」を含む40歳代と、「団塊ジュニア世代」を含む10歳代後半から20歳代前半の2か所に、人口の塊があった。いずれも、5歳刻みで1,000万人前後の大きな塊を形成している。2002年には、塊がそのまま持ち上がって「団塊世代」を含む70歳代と、「団塊ジュニア世代」を含む40歳代後半から50歳代が膨らんでいる。しかし、団塊ジュニアの子ども世代にあたる20歳代から30歳代には塊が発生せず、年齢階級が下がるほど人口が減り続けている。少子化による現象と言える。10歳未満の人口は、5歳刻みで見れば、400~500万人足らずである。