子が大学を卒業したら別れよう…将来的な離婚を検討中、覚悟すべき「法的なデメリット」【弁護士の助言】

子が大学を卒業したら別れよう…将来的な離婚を検討中、覚悟すべき「法的なデメリット」【弁護士の助言】

「子どもが成人したら離婚したい」「子どもが大学を卒業したら離婚しよう」など、節目のタイミングで離婚しようと考えている人は少なくありません。そういった時期に離婚して本当に後悔しないのか、法的な側面をふまえて検討してみましょう。本記事では、Authense法律事務所で女性向け法律相談を担う弁護士白谷英恵氏が、将来的な離婚の準備について解説します。

離婚相手からもらえるお金

離婚の際、相手からもらえるお金には以下のようなものがあります。

 

財産分与

夫婦のあいだに共有財産があれば、その2分の1については相手から給付を受けられます。たとえば現金預貯金や自宅、株式や生命保険そのほかの積立金などが財産分与の対象です。夫の退職金についても、今後おおよそ10年以内に退職予定があり、退職金が支給される蓋然性が高い場合などには財産分与の対象になります。

 

財産分与のお金が数千万円などの多額になっており、離婚しても当面生活に困らなそうであれば離婚に踏み切ってもいいでしょう。

 

ただし、相手がすんなり財産分与に応じるとは限りません。争いになったときに備えて、預貯金通帳や不動産の評価に関する資料、生命保険証書(コピー可)や積立金の資料、証券会社との取引状況を示す資料など、財産についての資料を集めておきましょう。

 

慰謝料

慰謝料は、相手に「有責性」がある場合に請求できます。有責性とは、離婚原因を作った責任です。たとえば相手が不倫した場合や、DV、モラハラの事案などです。ただし、離婚慰謝料は高くても300~400万円くらいまでにしかならないのが一般的です。慰謝料を受けとりさえすれば離婚後の生活を心配しなくて済むというものではないので、離婚後の生活の「補助的な要素」と考えましょう。

 

また、相手が慰謝料をすんなり支払わないケースもあるため、相手の有責性についての証拠を集めておく必要があります。たとえば、相手が不倫しているケースでは、「配偶者とその不倫相手が男女の性関係をもっている証拠」が必要です。LINEなどのメッセージだけでは足りないこともあります。

 

年金分割

離婚の際、相手に「年金分割」を請求できるケースもあります。年金分割を請求できるのは、厚生年金、または、共済年金がある場合です。

 

年金分割請求をすると、婚姻期間中に払い込んだ年金保険料をわけ合えます。将来年金を受けとる年齢になれば、数千円~数万円受取金額が増えることもあります。ただ離婚後すぐに年金をもらえるわけではないので、これを当てにして離婚することは適切ではありません。

自分自身の経済力

現在働いており収入のある方であれば、慰謝料や財産分与などを頼らなくても生活できるので、お金のことで思い悩む必要はありません。反対に、専業主婦の方やほとんど働いていなかった方の場合などには、離婚時の給付に頼らざるを得ないので、相手からどのくらいの給付を受けられるかが非常に重要な問題となってきます。

実家からの援助

ご実家が裕福な方であれば、自分自身に経済力がなくても実家から援助を受けられたり、実家に戻って生活したりできるので、離婚後の生活方法についてそれほど思い悩む必要がないケースもあります。

 

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