昨今、高齢者の住まいとして有効な選択肢になりつつある「老人ホーム」。入居の理由はさまざまですが、入居が決まれば安心、というわけではありません。「お金が足りない……」そんな理由で、最悪、退去しなければというケースも。みていきましょう。
83歳「年金手取り月15万円」の母だったが…58歳の長男が絶句、思わず明細を二度見する「老人ホーム請求額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

老人ホームに入居するためにかかる費用、2つ

内閣府『令和6年版高齢社会白書』によると、65歳以上の住まいの形態で最多は「持ち家(一戸建て)」で76.2%。「持ち家(集合住宅)」8.3%、「賃貸(民間集合住宅)」5.9%、「賃貸(公営集合住宅)」4.5%、「賃貸(一戸建て)」2.4%、「高齢者向け住宅」0.4%と続きます。

 

また今後の住み替えの意向については、全体では5.8%が「ある」と回答。また現時点ではないものの、「将来的には検討したい」は24.6%。また住み替え先候補として最多は「持ち家(一戸建て)」で28.7%。「持ち家(民間集合住宅)」が16.6%、「シニア向け分譲マンション」が6.3%。また特養などの「介護保険施設」は2.4%、「有料老人ホーム」は10.6%でした。

 

割合としては少ないですが、高齢者向け住宅、いわゆる老人ホームは、確実に高齢者の住まいのひとつの選択肢になっています。

 

老人ホームの入居に際し、やはり問題になるのはその費用。まず初期費用として「入居一時金」。これは家賃の前払いのようなもの。入居一時金を支払うと、その分、月額費用が安くなるイメージであるものの、一方で、入居へのハードルは高くなります。

 

また入居一時金には償却期間が設けられていて、その期間前に退去となった場合には、未償却分の入居一時金は返還されます。さらにこの償却については、通常、初期償却額が設定されています。たとえば入居一時金が1,000万円、償却期間5年、初期償却額200万円という場合、契約時に200万円を償却。残り800万円が5年間で償却されていくことになります。

 

入居後にかかるのは「月額利用料」。通常、家賃や管理費、食費、水道光熱費が含まれ、介護が必須の場合は、そこに介護費用もプラスされることが多いようです。

 

入居後に費用が払えないということのないよう、綿密にシミュレーション。身の丈に合ったホームを選ぶことが大切です。