金持ちは大変だね……他人事と思っていた「相続トラブル」。しかし、裁判沙汰にまで発展するのは「遺産総額1,000万円以下」が最も多く、実は一般人のほうが相続トラブルに巻き込まれやすいというのが実情です。今回は代襲相続に絡むトラブルについてみていきます。
「つべこべ言わずに判子を押して!」「はぁ!? これは事件です、警察を呼びますよ」…伯父・伯母から亡き祖母の通帳を見せられた孫、激怒 (※写真はイメージです/PIXTA)

子が亡くなった場合、孫へと相続権は引き継がれる

民法で相続人となることができると定められた相続人を「法定相続人」といい、配偶者と血族の2種類に分かれます。配偶者は常に相続人で、血族は第1順位が、被相続人の子、第2順位は直系尊属(被相続人の親等)、第3順位は被相続人の兄弟姉妹です。

 

事例の場合、祖母が亡くなり、第1順位の子(伯父・伯母、男性の父)が相続人になります。しかし男性の父は亡くなっているので、このような場合、相続権はその子、被相続人からみると孫へ受け継がれます。これを「代襲相続」といいますが、もし孫にも代襲相続の原因がある場合は、ひ孫へと順次下の世代が相続します。ちなみに、相続人の兄弟姉妹の代襲相続は子のみに限られ、孫以降には含まれません。

 

遺産相続には、「①遺言による遺産分割」「②相続同士の協議による遺産分割」「③家庭裁判所の調停による遺産分割」「④家庭裁判所の審判による遺産分割」の4つの方法があります。遺言書があれば①となり、なければ②。そこでまとまらなければ③④となります。

 

万が一、今回のような状況で、男性(孫)に相続権があるにも関わらず、伯父や伯母だけで遺産分割協議を成立させてしまった場合、その話し合いは無効。他の相続人に対して、いつでも分割のやり直しを求めることができます。

 

[参考資料]

法テラス『法定相続人とは何ですか。』

法テラス『代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは何ですか。』

法テラス『自分にも相続権があるのに、他の相続人だけで遺産分割協議が成立してしまいました。』