原則、65歳から受け取ることができる、日本の公的年金。しかし少子高齢化が加速度的に進むなか、時代に即した制度を模索。年金制度改革の議論が進んでいきます。遠くない未来、年金制度の“原則”が変わるかもしれません。みていきましょう。
「高齢者65歳→70歳に変更」「年金は!?」「70歳以上」「えっ!?」…月収40万円・42歳のサラリーマン〈年金受取り〉5年先延ばしの未来

「国民年金保険料納付」60歳まで→65歳まで、「高齢者の定義」65歳以上→70歳以上

平均的なサラリーマンであれば「65歳から17万円強」。そんないまどきの年金事情。しかし少子高齢化がさらに進むなか、年金制度改革の議論も進んでいます。

 

まず、いま議論されているのが、国民年金の加入期間の延長。現在、国民年金の加入は20~60歳の40年となっていますが、それを5年延長し、65歳にしようとする動きがあります。

 

検証のうえ、2025年の通常国会に関連法案の提出を目指すとされているので、65歳まで国民年金保険料を納付しなければならない未来は、かなり確実性が高そうです。

 

さらに先日行われた政府の経済財政諮問会議で、議員から出された提言が「高齢者の定義を現在の65歳から70歳に引き上げる」というもの。WHOが発表した世界保健統計2023年版によると、日本人の平均寿命は84.3歳と世界一。以前の年金制度は、定年後の老後は15年として設計されていたので、高齢者年齢の引上げは、実情に即しているといえる部分もあります。

 

この提言に対して、「70歳以上が高齢者という定義付け」に関しては賛成意見も多いものの、それに伴い年金受給年齢が引上げとなる可能性については、意見が二分。

 

――どうせ、70歳くらいまで働かないといけないなら、年金の受け取りも70歳からでいい

――年金の受取りが遅くなる分、年金額が増えるなら納得できる

――60歳で定年を迎えて、さらに10年も働かないといけない……耐えられる自信がない

 

現在、多くの企業が60歳を定年年齢とし、その後は再雇用と雇用形態を変えて、65歳、さらには70歳まで働くことができるという環境が整いつつあります。つまり、60歳で仕事を辞めても5年やり過ごせば年金をもらうことができるわけです。それが10年に延びるのは、ちょっと厳しい……そんな意見が目立ちます。また仕事を続けるにしても、定年後は非正規社員となり、正社員のフォロー的な立場になるケースも。第一線で働いてきたのに、定年後はフォロー的な立場で10年は働けない、という声も。

 

年金の受給年齢だけでなく、働き方や暮らし方など、一緒に議論しなければならないことは多そうです。

 

[参考資料]

厚生労働省『年金ポータル』

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』