「退職金」「貯蓄」「年金」…それぞれの平均値は?
――老後夫婦で2,000万円不足しますよ
5年ほど前に日本中を震撼させた「老後資金2,000万円不足問題」。これをきっかけに、誰もが当たり前のように「資産形成」という言葉を使っている今では、「なんでそんなに大騒ぎだったんだろう」と、少々疑問に感じる人もいるかもしれません。
そもそも、老後資金として、どれくらい当てにできるものなのか、「退職金」「貯蓄」「年金」の平均値をみていきましょう。
まず「退職金」。厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、退職給付(一時金・年金)制度がある企業割合は 74.9%。定年退職金平均額は大卒で1,896万円、高卒で1,682万円です。
次に「貯蓄」。総務省『家計調査 貯蓄・負債編(2023年平均) 』によると、65歳以上無職の夫婦世帯の平均貯蓄額は2,656万円、負債は31万円。貯蓄額から負債額を引いた純貯蓄額は2,625万円。ただし一部の資産家が平均値を押し上げている可能性も。ちなみに二人以上世帯の平均貯蓄額は1,904万円、中央値は1,107万円。高齢夫婦の中央値についてはデータはありませんが、同じように差異があると考えられるでしょう。
最後に「年金」。厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は5万6,428円。厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者の平均年金月額は、併給の老齢基礎年金を含めて老齢年金が14万4,982円。65歳以上の受給権者の平均年金月額は、男性が16万7,388円、女性が10万9,165円でした。
そもそも、老齢厚生年金の受給額は、
①平成15年3月以前
平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成15年3月までの加入期間の月数
②平成15年4月以降
平均標準報酬額×5.481/1,000×平成15年4月以降の加入期間の月数
の計算式で求めることができます。仮に大学卒業後、正社員として60歳定年まで働き、60歳から65歳までは再雇用制度で非正規社員として働くという、昨今のスタンダードな働き方で、ずっと大卒者の平均的な給与を手にしてきたとしたら、65歳から受け取れる老齢厚生年金は月11.5万円。老齢基礎年金と合わせて月18.3万円となります。同じ条件で妻も65歳まで働いたとすると、老齢厚生年金は月9.4万円、老齢厚生年金との合計は月16.2万円。ともに大卒の夫婦であれば、夫婦で月34.5万円、年414万円の年金収入があることになります。